「いずれ」と「いづれ」。
音が同じなので間違えやすい言葉の一つですが、どちらの表記が正しいのでしょうか?
いづれ VS いずれ
”いずれ” と ”いづれ”の正しいのは?
正解は「いずれ」です。
現代用語では「いずれ」が正解ですが、「いづれ」は歴史的仮名づかいでの表記になります。
歴史的仮名遣い
現代仮名遣いと対比して使われる、古い仮名遣い。旧仮名遣い、復古仮名遣い、古典仮名遣いとも呼ばれる、
現代文を書く場合には「いずれ」が正解となりますが、古文では「いづれ」が用いられていました。有名な源氏物語の一節にも「いづれ」が用いられていますね。
いづれの御時にか、女御、更衣あまた候ひ給ひける中に、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて 時めき給ふありけり。
意味を参考までに書いておきますと、「いつの時代だったでしょうか、女御や更衣がたくさんお仕えしていたときに、そんなに高貴な身分ではない方で、際立って帝の御寵愛を受けている者がいました」という感じでしょうか。古文ブログではないので、正確でなかったらすいません。
現代用語と歴史的仮名遣いの例をもう少しあげておきましょう。
現代用語 | 歴史的仮名遣い |
ちょうちょう | てふてふ |
におい | にほい |
はじ | はぢ |
つわもの | つはもの |
いずれ | いづれ |
おちゃのみず | おちやのみづ |
「いずれ」の意味
いずれは「代名詞」です。もう少し詳しく説明すると「不定称の指示代名詞」といいます。
意味は「どれ、どちら、どっち」で、2つ又はそれ以上あるもの(物、場所、時など)の中から一つ選ぶときに使う語です。
いずれの例文
- いずれの物も名品ぞろいだ
- 合否いずれの場合も通知します」
代名詞のほかに「副詞」としての意味もあります。
いずれの意味(副詞)goo辞書より
- いろいろな過程を経たうえでの結果をいう。いずれにしても。結局。「その場はごまかせても―ばれるに決まっている」
- あまり遠くない将来をいう。そのうちに。近々。「―改めて伺います」
「いずれ」の漢字表記
漢字表記は「何れ」「孰れ」です。
「孰れ」は漢文表記に充てられた漢字のため、ほとんど使われません。難読漢字としてクイズ番組でも読み方が問われたりもしますね。
まとめ
分かりましたでしょうか?
他と外の使い分けについても、記事「「外」と「他」の違い、使い分けについて。公用文での扱いも説明します。」を書いています。
あわせて読んでみてくださいね。
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