不動産鑑定士が不動産実務に役に立つ情報(TIPS)を綴ります

不動産実務TIPS

ツール

建築確認申請が不必要な建築物とは?

更新日:



法律を無視して建物が乱立しないように、また安全な建築物が作られるように建築基準法やその他の関連法規があります。

計画された建築物が建築基準法やその他の関連法規の基準に適合しているかどうかの確認を受ける手続きがあります。

これを建築確認申請といいます。

しかし、建築物の中には建築確認申請が不必要な建物もあります。ではどのような建物でしょうか。

建築確認申請が不必要な場合と、そもそも建築基準法が適用されない建物もあります。

まずは、建築確認申請がどのような場合に不必要なのかを説明します。

スポンサーリンク

建築確認申請が不必要な場合

次の場合は、建築確認申請が不必要です。

建築確認申請が不必要な場合

  1. 都市計画区域外での規模の小さい建物の建築行為など
  2. 合併処理浄化槽などの建築設備に該当しないものの建築
  3. 防火地域や準防火地域外での延べ面積が10平米以内の増築など
  4. 国、都道府県、建築主事を置く市町村や特別区が建築する行為
  5. 災害があった場合の応急仮設建築物や工事用の仮設現場事務所など
  6. 類似用途への用途変更
  7. その他

初学者でも分かりやすいようになるべく平易に書いています。正確には建築基準法などの法規にあたってください。

6番目の類似の用途への用途変更はよく問題になるので、もう少し詳しく説明します。

類似の用途への用途変更

既存の建物の用途を変更する場合、原則として建築確認申請が必要とされています。

ただし、建築基準法施行令第137条の17では、各号内での用途変更は類似の用途とされ、確認申請が不必要とされています。

類似の用途
1号 劇場・映画館・演芸場
2号 公会堂・集会場
3号 病床のある診療所・児童福祉施設等
4号 ホテル・旅館
5号 下宿・寄宿舎(シェアハウス)
6号 博物館・美術館・図書館
7号 体育館・ボーリング場・スケート場・その他
8号 百貨店・マーケット・物品販売業の店舗
9号 キャバレー・カフェ・バー
10号 待合・料理店
11号 映画スタジオ・テレビスタジオ

3号、6号、7号には次の注釈がつきます。

注意

  • 3号 … 第一種・第二種低層住居専用地域内にある場合を除く
  • 6号 … 第一種・第二種低層住居専用地域内にある場合を除く
  • 7号 … 第一種・第二種低層住居専用地域、工業専用地域内にある場合を除く

建築基準法が適用されない建物

次に、建築基準法が適用されない建物です。

建築基準法が適用されない建物は、建築基準法第3条1項に規定されています。

建築基準法 第3条1項(適用の除外)

この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない。

  1. 文化財保護法 (昭和二十五年法律第二百十四号)の規定によつて国宝、重要文化財、重要有形民俗文化財、特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物として指定され、又は仮指定された建築物
  2. 旧重要美術品等の保存に関する法律(昭和八年法律第四十三号)の規定によつて重要美術品等として認定された建築物
  3. 文化財保護法第百八十二条第二項 の条例その他の条例の定めるところにより現状変更の規制及び保存のための措置が講じられている建築物(次号において「保存建築物」という。)であつて、特定行政庁が建築審査会の同意を得て指定したもの
  4. 第一号若しくは第二号に掲げる建築物又は保存建築物であつたものの原形を再現する建築物で、特定行政庁が建築審査会の同意を得てその原形の再現がやむを得ないと認めたもの

つまり、国宝などの文化財である建築物は、建築基準法が適用されません。

このような文化的な価値を有する建築物は、復元工事などで現行法を適用すると、その建築物の文化的価値を著しく損なうおそれがあります。そのため、建築基準法の規定そのものが適用されないとされています。

その他、建築基準法が適用されない訳ではありませんが、制限が緩和される行為が次の3つです。

制限が緩和される場合

  • 簡易建築物の制限緩和
  • 仮設建築物の制限緩和
  • 景観重要建築物・伝統的建造物群保存地区の建築物の制限緩和




PICK UP記事と広告



-ツール

Copyright© 不動産実務TIPS , 2024 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.