統計学を学びたいけど、どんな本を読んだら良いのか分からない。理論的な裏付けよりも実践的な統計分析をメインに学べるような本が欲しい。
そんな方は多いと思います。
今日はビジネスマン初学者向けの統計学・統計分析を学ぶための本・書籍を紹介して行きます。タイトルと同時に著者も一緒に記載していきたいと思います。
統計学に関心・興味を持つための本
まずは、統計学に興味を持つための本です。勉強として肩ひじ張らずにさらりと読める本を選んでいます。統計学に興味をもつためのとっかかりとして読んでも楽しいですし、統計学勉強の途中のコーヒーブレイクとしても読めます。
統計学が最強の学問である|西内 啓
数年前に大ブレイクした名著。
世の中には統計を全く知らない人が多数います。そんな人がビッグデータを語り、統計だ数字だと語っています。まずはこの本を読んでほしいです。統計学のエッセンスに触れることができるかと思います。最終章は統計学の応用分野にも触れているのでやや重たいですが、その他の章は標準偏差、平均といった高校生で学ぶ程度の知識があれば読める本だと思います。
同著者による類書として[ ビジネス編 ]と[ 実践編 ]もあります。
統計はこうしてウソをつく―だまされないための統計学入門|ジョエルベスト
数式や記号がほとんど出てこない統計学の読み物。世の中にはびこる統計の誤りを紹介してくれる本です。数字もほとんど出てこないので文系の方にも読みやすい一冊。
私もかなり昔に読んだのですが、忘れられない一節があります。
間違った統計は生きつづける。独り歩きするのだ。
まずは、どのような統計が間違っているかが判断できるようにならなければなりません。その解決の糸口になる本です。
マネー・ボール〔完全版〕|マイケルルイス
2013年に文庫化された名著。ベストセラーとなった本です。
野球における迷信を疑い、数字がいかに大切かを物語る読みもの。野球を統計学的手法をもって分析し、非合理な今までの常識にとらわれずにいかに勝率を上げるかを物語風に紹介しています。
この本も数字や数式はほとんど出てこないので読み物として読めます。また、2011年にベネット・ミラー監督、ブラッド・ピット主演で映画化されています。
初学者向けの統計学入門本
まずはそんなに重くない統計学の入門本です。上で紹介した本とは違い、数式が出てくるのでそれなりの学ぶ姿勢が必要となります。
完全独習 統計学入門|小島 寛之
本の紹介にもありますが、次のような方を対象としています。
本書籍の対象
- 統計学を初めて学ぶ人
- 統計学を改めて学び直したいという人
- 何度も挫折して、いまだに身についてない(と感じている)人
- 今まさに落ちこぼれつつある人
私はひととおりの統計学を学んだ後で本書を読みましたが、復習にも最適でした。章の最後には簡単な練習問題も付いているので、独習にも適しています。何も知らない状態から統計学を学びたいと相談を受けた時に、真っ先に紹介する一冊です。
著者の小島 寛之さんは経済学者ですが、数学のエッセイストとして数々の本を書かれています。塾講師の経験もあり、いずれも読みやすいです(もちろん全部を読んだことがある訳ではありませんが)。
類書としてベイズ統計学の入門書も書かれています。
マンガでわかる統計学入門|滝川好夫
内容紹介
どこかにいそうな三姉妹。「統計学」がまったく出来ない次女(女子大生)の留年危機を阻止するために始まった長女(証券会社勤務)の家庭レッスン。統計学を一からはじめて、基本的な内容を使えるレベルになるよう、身近な具体例を取り上げながら実況中継の講義が展開されます。
「マンガでわかる」とのタイトルどおり、イラストを交えての本にはなりますが、ひととおりの統計学の知識を得ることができます。平均値、標準偏差といった基本的な説明から統計的仮説検定まで幅広くカバーしています。
統計学がわかる|向後 千春 , 冨永 敦子
内容紹介
ポテトのばらつきやアンケート集計の結果など、ファストフード店で起こる統計的な疑問の数々を、登場人物たちと一緒に悩み、一緒に解決していきましょう。仕事でデータ分析の必要を感じているビジネスマン、論文を書くために統計学の知識を必要としている学生さんなどに、とっかかりの一冊としておすすめです。
初学者向けの本としては、小島 寛之さんの「完全独習 統計学入門」の方がおススメですが、「統計学がわかる」も数式が少なめで統計学をひととおり学べる本として有名です。
統計学がわかる、を読んだ後には同じシリーズで統計解析・多変量解析などもあります。
しっかりと統計学を学びたい方向け
次に紹介する本はしっかりと統計学を学びたい方向けの本です。計算式や数字もたくさんでてきます。
統計学入門 (基礎統計学Ⅰ)|東京大学教養学部統計学教室〔編〕
統計学入門の基本書。数学をもちいて学ぶ統計学。理系学生・経済学部の学生には良いかもしれませんが、ビジネスマンにはいささか荷が重い基本書です。学生時代に数学をひととおり勉強していないと難しいかもしれません。
とはいえ、この一冊をやりとげれば統計学の理論的根拠はひととおり学べるはずです。
統計学入門 (新経済学ライブラリ)|森棟 公夫
私が学生時代に学んだ基本書。経済学部出身なこともあって、新経済学ライブラリというシリーズの中の一つです。難しく、非常に分かりづらかった思い出しかありません。
使われる数式が高度です。
ビジネスマン向けの統計学基本書
上の2冊は学問としての統計学を学びたい方向けの本でした。次の「ビジネスマン向けの統計学基本書」はより実践的な分析方法に主眼をおいたビジネスマン向けの統計学基本書です。
ビジネス統計学(上・下)|アミール・アクゼル,ソウンデルパンディアン・ジャヤベル
欧米のビジネススクールでも使用されている教材。分量があり、しかも上下巻なので覚悟をもって勉強できる人向けです。特にMBAなどを目指している意識の高い人におすすめです。
ビジネスで本当に使える超統計学| 村上知也 , 矢本成恒
平均・標準偏差などから始まり、検定・回帰分析・主成分分析といった、ビジネスにおける統計分析はほぼカバーしてくれる著作。とりあえずビジネスの場での分析をそれなりの形にしたいという方には最適なレベルの内容です。
Excelを用いて説明してくれている点もビジネスマン向け。
ビジネスマンのためのデータ分析&活用術|米谷学
やや読み物としての色合いが強いのが本書です。
「50が100になるよりも、0が5になる方が大きな進歩」というキャッチにもあるとおり入門者向けです。しっかり学びたい人には「ビジネス統計学」がおススメです。
さらに統計学を学びたい方向けの著作
統計学のための数学教室
統計学は数学の学問ですが、統計学は学びたいけど数学はちょっと...という方も少なくないはず。必要最低限の数学を一から学べるのが本著です。中学・高等数学から学ぶことができるので初学者向けです。
ひととおり統計学を学んだ人が復習目的などで読むにはちょっと物足りないかもしれません。
確率的発想法~数学を日常に活かす|小島 寛之
統計ではなく、確率を扱った書籍。入門者向けの統計学本でもイチ押しだった小島 寛之さんの著作です。
内容紹介
確率の発想さえ身につければ、不確実な状況をうまくコントロールできる。ギャンブルや保険、資産運用など、日常に即しながら確率の基本的な計算方法を数字の苦手な人にもわかりやすく解説し、経済学や金融工学などが確率をいかに利用しているかを紹介。さらに、環境問題などのリスクに確率のテクニックを応用して対処する可能性をさぐる。社会生活に役立つ、異色の数学入門。
ベイズ統計学入門|小島 寛之
ベイズ統計といえば、迷惑メールの自動判別などに使われていることが有名ですね。統計学が実際の日常生活でどのように利用されているのかが分かりやすく紹介されているのが本書。数式も数字もほとんどないので、面白く読めると思います。
内容紹介
検索エンジンの予測変換機能やネットショップのリコメンド機能など、ビジネスに多用されている注目の学問「ベイズ統計学」入門の決定版。「確率」どころか「ルート」などの中学数学を忘れても理解できるよう徹底的にやさしく解説。IT業界の人や統計学に興味がある人はもちろん、すべてのビジネスパーソン必見の一冊。
こんな書籍も面白そうですね。
日本統計学会公式認定 統計検定 3級・4級 公式問題集
統計検定なる検定試験があります。4級は中学卒業程度、3級は高等学校卒業程度なので3級あたりからはじめてみるのも良いかもしれません。
統計マインドを鍛えるために
統計データはあくまで数字です。
その数字からどのように考えるのか、どのような結論を導くか、これは統計データを見た人が求めるものです。
一つの問題を出しましょう
検査結果の信頼性が98%のガン検査があります。ガンになる確率が0.5%のとき、ガンと診断された人が本当にガンである確率は何パーセントでしょうか?
検査結果の信頼性が98%なので、そのまま98%でよいんでしょうか?
統計マインドとは、このような一見簡単そうに見える数字のからくりをきちんと道筋をたてて考えるスキルです。
ガン検査の問題については、別記事「生存率・死亡率は正しいのか?数字に騙されないために気をつけたいこと[統計コラム]」を書いていますので、答えが気になる人は読んでみてください。
また、統計マインドを鍛えたい!という方向けに、「統計マインドを鍛える本5冊。読み物としてもおススメ!」という記事も書いていますので、こちらも参考にしてみてください
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まとめ
統計の知識はビジネスの場でも必須の知識です。会議などでも統計知識があるとないとでは数字の扱い方にかなり差がでます。統計知識がない人の話はトンデモ話が多く、表やグラフを作ってきてもむちゃくちゃだなーというものが正直多いです。
自分で本を読んで勉強するだけではなかなかモチベーションが上がらないという方は、最後に少し紹介した統計検定を受けるのも一つの手だと思います。私は内閣府移行認可(一財)実務教育研究所が運営する現代統計実務講座というものを受講して統計学を学びました(「統計士」という民間資格が得られます)。
統計学を学ぶのは英語などと一緒でなかなか遠い道のりです。しかし、全部やり切れば見えてくるものが変わってくるので、良い書籍に巡り会って是非めげずにやり遂げて欲しいと思います。