先日レーザー距離計を買ったと報告しました。そのレーザー距離計は傾きも簡易測定することができるんですが、そうなるとどのくらいの傾きになれば建物として問題が出てくるのかが気になってきます。
参考 BOSCH(ボッシュ)のレーザー距離計、glm80を購入。距離計の選び方
ですのでちょっと調べてみました。
品確法の技術的基準
住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)の技術的基準に住宅の床の傾きに関する記述があります。
URL 国土交通省|住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準(PDF)
[table id=42 /]
表では簡単に○△×と書いてしまいましたが、これは構造体力上主要な部分に瑕疵が存する可能性を表しています。
つまり3/1000なら可能性が低い、3~6/1000ならば一定程度瑕疵が存在する。6/1000以上であれば瑕疵が存在する可能性が高いということです。
いきなり分数で表示してしまいましたが、これも説明していきます。
水平距離が1000ミリに対して、床が何ミリ(d)ずれているかということです。dが大きければ大きいほど床面が傾いているということですね。
測定の間隔は床で3m程度以上の長さが必要となります。ですので、レーザー距離計を床に置いて角度を測っただけでは不十分です。
品確法に基づく「建築住宅性能表示制度・既存住宅現況検査」においては6/1000を目安にしており、財)日本建築防災協会「木造住宅の耐震診断と補強方法」においても6/1000を超える傾きが基準とされているようです。
角度との関係
レーザー距離計では傾きが角度で表示されます。ですので、角度との関係を説明します。昔習ったサイン、コサイン、タンジェントってやつですね。
±3mmの誤差は傾きにすると約0.17°
±6mmの誤差は傾きにすると約0.34°
建物の傾きと建物外部
建物の傾きは大きくなればなるほど、外壁や基礎にも影響が出てきます。まずは土間のコンクリートにひびが入ってきます。もっと傾きが大きくなると、ひびが亀裂となり、基礎のコンクリートや外壁にもひび割れが入りはじめます。
建物の傾きと建物内部
建物の内部で観察すべきは、障子や扉でしょうか。
扉自体は四角になっているので、建物がゆがみ始めると扉のフレームがゆがみます。ですので扉と枠に隙間がある場合は要注意です。隙間がある場合は、開け閉めもスムーズではなくなります。
より傾きが大きくなってくると、内部の壁にもひび割れが生じてきます。雨漏りの原因にもなってきます。
まとめ
中古住宅の流通活性化が推進されている中で、インスペクションなどの建物調査はまだ十分に浸透していません。
中古住宅の流通を担う宅建士や、建物の評価を行う不動産鑑定士の調査においても、建物の傾きを簡易にでも測定する必要が大きいのではないかと思います。
今はボタン一つで簡単に傾きを測定できる機器もありますので、是非活用されてみては?