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賃料とは?家賃、地代、借賃(借り賃)の違いについて

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賃料とは何でしょうか?似たような言葉に家賃や地代、借賃(借り賃)がありますが、違いはあるのでしょうか?

分かっていそうで分かっていない言葉の説明をしてみたいと思います。

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賃料とは

賃料とは、賃貸借契約上の概念です。賃借人の使用収益の対価として賃貸人が得る利益のことを言います。ここで、目的物が動産か不動産かは問いません。

簡単にいえば、貸し借りをする際に支払われる対価です。賃貸借料金ですね。

借賃・借り賃とは?

物を借りた代わりに支払う料金のことを借賃(しゃくちん)又は借り賃(かりちん)といいます。貸した側から考えると貸し賃(かしちん)です。

賃料とは同義で使われますが、後で説明するように、法律によって賃料と書かれたり、借賃と書かれたりします。

つまり、借りた側からの支払い賃としての「借賃・借り賃」。貸した側からの受け取る賃料としての「貸し賃」ということになります。

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家賃・地代とは?

賃貸借の目的物が不動産である場合に、土地の賃料を地代、建物の賃料を家賃といいます。

分かりやすいように、賃料・家賃・地代の関係をベン図にしてみます。

物の貸し借りとして、一般的な用語の「賃料」があり、不動産については建物は家賃、土地は地代と呼ばれます。

借賃

物を借りるために支払う金銭。借り賃。

 

法律と賃料

法律の中で賃料はどのように出てきているんでしょうか。民法と借地借家法について調べてみました。

調べると面白いんですが、借地借家法という法律の中では「賃料」という言葉は一切でてきません。

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借地借家法の中の賃料

借地借家法の第11条で地代等増減請求権の条文があります。

地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)

ここで面白いのは、地代と土地の借賃を区別して記載しているところです。しかし、地代と土地の借賃って何が違うんでしょうか?同じ意味だと思っていたんですが、法律では明確に区別されており、その2つを合わせて「地代等」と定義しています。

家賃については、定義のような条文はありませんが、「建物の借賃」と記載されています(第32条、借賃増減請求権など)。

上の説明で分かるとおり、借地借家法では「賃料、家賃」といった表現はでてきません。

民法の中での賃料

では、民法ではどのようになっているでしょうか。

第7節「賃貸借」の第601条を引用します。

民法第601条(賃貸借)

賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

民法では借地借家法と違い、「賃料」という表現がされています。

地代という表現は民法第266条(地代)に登場します。

民法第266条(地代)

第二百七十四条から第二百七十六条までの規定は、地上権者が土地の所有者に定期の地代を支払わなければならない場合について準用する。
 
2 地代については、前項に規定するもののほか、その性質に反しない限り、賃貸借に関する規定を準用する。

民法では「借賃」「家賃」といった表現は出てきません。

賃料の英語

最後に参考までに賃料の英語を紹介しておきます。

英語では「rent」(発音記号:rént)となります。

意味は「家賃、部屋代、地代、小作料、借用料、使用料、貸借料」となっているので、家賃や地代を総称してレントと呼びます。




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