不動産の登記簿(全部事項証明書)を見ていると「昭和63年法務省令第37号附則第2条第2項の規定により移記」という言葉がよく書かれているのに気付くかもしれません。
普段は気にしない、この「昭和63年法務省令第37号附則第2条第2項の規定により移記」とはどういう意味なんでしょうか?
昭和63年法務省令第37号附則第2条第2項の規定により移記
昭和63年法務省令第37号附則第2条第2項の規定により移記とは、コンピューター化によりバインダー式の簿冊から、コンピューター式に移されたことを意味します。
コンピューター化は平成12年に順次バインダーの簿冊からコンピュータへの移行が行われました。
法的には昭和63年の法務省令第37号附則第2条第2項の規定によりコンピューター化が進められました。
昔の登記簿(登記記録)は法務局の係官が直筆で記録をしていましたが、それがコンピューター入力に代わり、今のような登記記録となりました。
昭和63年法務省令第37号附則第2条第2項の規定により移記とは、登記記録の保管方法、記録方法が代わりましたということを示しているのです。
平成17年法務省令第18号附則第3条第2項により移記
似たものに「平成17年法務省令第18号附則第3条第2項により移記」があります。
改正不動産登記法は2005年(平成17年)3月に施行されました。
平成17年法務省令第18号とは、改正不動産登記法での不動産登記規則を意味します。
昭和63年法務省令第37号の移記登記と、まったく同じ意味で改正不動産登記法の下で、コンピューター化されたもの、つまり平成17年以降にコンピューター化されたものには、「平成17年法務省令第18号附則第3条第2項により」と書かれています。
不動産登記規則附則
第三条(登記簿の改製)
- 登記所は、その事務について法附則第三条第一項の規定による指定(同条第三項の規定により指定を受けたものとみなされるものを除く。)を受けたときは、当該事務に係る旧登記簿(同条第四項の規定によりなおその効力を有することとされる改正前の不動産登記法(明治三十二年法律第二十四号。以下「旧法」という。)第十四条に規定する登記簿をいう。以下同じ。)を法第二条第九号に規定する登記簿に改製しなければならない。ただし、法附則第三条第一項に規定する電子情報処理組織による取扱いに適合しない登記簿については、この限りでない。
- 前項の規定による登記簿の改製は、登記用紙にされている登記を登記記録に移記してするものとする。この場合には、土地登記簿の表題部の登記用紙にされている地番、地目及び地積に係る登記を除き、現に効力を有しない登記を移記することを要しない。
- 登記官は、前項の規定により登記を移記するときは、登記記録の表題部又は権利部の相当区に移記した登記の末尾に同項の規定により移記した旨を記録しなければならない。
- 登記官は、第二項の規定により登記を移記したときは、登記用紙の表題部にその旨及びその年月日を記載し、当該登記用紙を閉鎖しなければならない。この場合には、旧登記簿の目録に当該旧登記簿につづり込んだ登記用紙の全部を閉鎖した旨及びその年月日を記載し、これに登記官印を押印しなければならない。