高圧線の下にある土地の調査と評価

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不動産を調査する際によく言われるのが、まずその物件を調査します。そして物件の隣接地の状況やその環境を調査します。忘れてはならないのが、物件の地上と地下も調査しなければならないことです。

今回は地上にある送電線・高圧線の話をしたいと思います。

高圧線下地とは

電力会社などの電気事業者が電気を送電するために架設された送電線の下にある土地を高圧線下地といいます。一般的には特別高圧(7,000V以上)の送電線の下にある土地が問題となります。

架空送電線

発電所で発電した電気を、電線を用いて電気を使用する場所まで送りますが、これを送電線といいます。地上にあるり、鉄塔と鉄塔などをとおっているものが架空送電線です。

架空送電では、鉄塔、電線、がいしでできています。電圧を高くして電気を送るため、鉄塔で地上から高いところに電線を支えて、がいしで絶縁します。
雷、台風、氷雪、豪雨などのときでも確実に電気を送ることができるように工夫されています。

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電圧の種類

電気事業法に基づく「電気設備に関する技術基準を定める省令(通産省令)」では、電圧は以下の3種類に区分されています。

種類直流交流
低圧750V以下600V以下
高圧750V以下600V超、7,000V以下
特別高圧-7,000V超

特別高圧の架空電線路は、原則としてその電線がケーブルである場合を除き、市街地その他人家の密集する地域に施設してはならないとされています(電気設備技術基準第40条)。

参考:電気設備に関する技術基準を定める省令

上の図で示した「がいし」の数によって送電線の電圧が概略分かるので覚えておくとよいでしょう。

電圧がいし個数
20,000~30,000V3~4個
77,000V5~9個
154,000V7~21個
275,000V16~25個
500,000V20~41個

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がいしは6個、電圧は66,000Vです。

高圧線下地の利用制限

特別高圧が架設された土地については、建造物等の築造や竹木の植栽が制限されます。

水平離隔距離(すいへいりかくきょり)

高圧線の使用電圧が170,000Vを超える場合は、建造物との水平離隔距離を3m以上としなければなりません(特別高圧架空電線路の供給支障の防止)。

尚、建造物と高圧線(架空電線)が3m未満の距離にある状態を第二次接近状態といいます。

2016-09-10_17h44_54

離隔距離(りかくきょり)

高圧線の使用電圧が170,000Vを超える場合は、高圧線下には築造物のを建てることはできませんが、170,000V以下であれば高圧線(送電線)から離隔距離、すなわち直線距離で3m又は3m+αの距離を離れることによって高圧線直下にも建造物を建てることができます。

2016-09-10_18h17_20

電圧離隔距離
7,000V超、35,000V以下3m以上
35,000V超(3+α)m以上
α:35,000Vを超えて10,000Vmたはその端数ごとに15cmを加えた値

補足

離隔距離については補足があります。

電気事業者が電気設備に関して公共の安全を確保するため、様々な基準が定められています。離隔距離も電気設備技術基準に定めてありますが、上の説明は実は旧基準に基づいています。2012年に基準が改正されており、制限の内容は電線の種類によってさらに細かく離隔距離が定められており、制限内容としては緩和方向で改正されています。

今後地役権設定が行われる場合は、新基準を満たす内容の地役権設定となるはずですが、実際の高圧線は2012年以前の旧基準を前提に借地権設定がされたものが大勢を占めます。

もし最近敷設された高圧線路の下地を調べるときは要注意です。

電気事業者と土地所有者との契約について

電気事業者は電気設備技術基準に適合するように土地所有者の利用を制限をするため、両者の間で私法上の契約を結ぶことがほとんどです。

地役権設定契約

最も一般的な方法が地役権設定契約です。

電気事業者が土地所有者との間に地役権設定契約(民法第280条)を行います。地役権の設定登記をすることにより第三者に対しても対抗できます。

地役権の設定対価は、地役権設定時に一括で支払われるのが一般的ですが、例外的に一部を一括払い、残りを年賦払いで支払うものもあります。

債権契約

電気事業者と土地所有者との間で、総戦線架設保持に関する契約(債権契約)を結ぶこともあります。この場合、債権契約となるため第三者に対しての対抗力がありません。

また、登記されることもないため契約内容の調査は電気事業者又は土地所有者に確認することになります。

区分地上権

区分地上権(民法269条2)の設定契約を結ぶことも考えられますが、実際はほとんどありません。

無契約

土地所有者との間の契約が全く存しないものもあります。この場合、土地所有者は何ら義務を負うものではありませんが、送電地役権の時効取得(民法第283条)をしている可能性も考えられます。

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