不動産の調査ではライフラインの調査、つまり上下水道、都市ガス等の供給処理施設の調査はもっとも重要な調査の一つです。
今日はその中でも上水道の調査のときに現れる簡易水道について説明します。
簡易水道事業とは?
上水道が使えるかどうか、水道の調査をしていると、「ここは簡易水道ですね。」と言われることがあります。
簡易水道、正式には「簡易水道事業」といいます。略して「かんすい」なんて呼ばれることもあります。
都市部では少ないかもしれませんが、農村部では簡易水道は一般的です。
では、簡易水道事業とはどのような事業なんでしょうか?普通の水道事業とはどのように違うんでしょうか。
水道事業と簡易水道事業の違い
簡易水道事業は、給水人口101人以上5000に以下に給水する計画の水道事業をいいます。
水道事業を規定する水道法を確認してみましょう。
水道法 第3条(用語の定義)
- この法律において「水道」とは、導管及びその他の工作物により、水を人の飲用に適する水として供給する施設の総体をいう。ただし、臨時に施設されたものを除く。
- この法律において「水道事業」とは、一般の需要に応じて、水道により水を供給する事業をいう。ただし、給水人口が百人以下である水道によるものを除く。
- この法律において「簡易水道事業」とは、給水人口が五千人以下である水道により、水を供給する水道事業をいう。
つまり、給水人口が101人以上は水道事業、その中でも計画給水人口が5000人以下を簡易水道事業といいます。
給水人口が100人以下のものは、は飲料水供給施設と呼ばれます。
飲料水供給施設
飲料水供給施設(いんりょうすいきょうきゅうしせつ)は、水道法に基づき、飲料に適した水を供給する水道で、給水人口が100人以下のものをいう。上水道や簡易水道とは主に給水人口の違いなどしかない。しかし、給水人口が100人に満たないため、水道法に基づく水道事業には該当しない。
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簡易水道の料金
簡易水道の料金は安い!という噂があります。
さて、本当なんでしょうか?
水道事業は個別差が大きいです。簡易水道の方が安い場所もありますが、どこの地域でも簡易水道の料金が安いわけではありません。
採算がとれず、水道事業よりも高額な水道料金となっている地域ももちろんあります。
一般的な話をすると、平成27年度末の統計では、水道事業と簡易水道事業の平均料金は次のようになっています。
全国平均 | 北海道平均 | |
水道料金 | 1,499円 | 2,113円 |
簡易水道料金 | 1,421円 | 1,966円 |
参考 北海道|道内水道の概況
平均でみると、若干簡易水道事業の方が料金が安いのが分かりますね。
簡易水道事業の普及率
冒頭で、簡易水道事業は農村部に多いと書きました。
都道府県ごとの水道普及率の統計によりこれを確認してみましょう。
簡易水道普及率トップ3
簡易水道が普及しているトップ3の都道府県です。
給水人口(上水道・簡易水道・専用水道)のうち、簡易水道の人口割合で計算しています。
都道府県 | 簡易水道給水人口 | 簡易水道普及率 |
島根県 | 139,137人 | 20.8% |
山梨県 | 153,303人 | 18.4% |
高知県 | 122,152人 | 17.8% |
島根県は水道を使っている人の2割が簡易水道に頼っています。これはかなり高い割合です。
簡易水道普及率ワースト3
逆に簡易水道が普及していない割合の高い3都道府県です。
ワースト3と書きましたが、簡易水道ではなく、一般の水道事業が普及していると考えれば、それだけ都市部だといえます。
水人口(上水道・簡易水道・専用水道)のうち、簡易水道の人口割合で計算しています。
都道府県 | 簡易水道給水人口 | 簡易水道普及率 |
大阪府 | 565人 | 0.0064% |
千葉県 | 6,458人 | 0.1090% |
東京都 | 16,621人 | 0.1224% |
簡易水道が少ない大阪府に至っては、10万人に6人が簡易水道を使っているのみです。
まとめ
水道事業の広域化、統合などの流れが進んでおり、簡易水道事業は年々減少傾向にあります。
簡易水道事業はもっとも全国で多かった1967年には14,246もの事業数がありましたが、2012年には6,257事業と半減しています。
簡易水道事業の上水道事業への統合が推進されていることから、これからも簡易水道事業は減少を続けるでしょう。