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内法面積と壁芯面積の違い。マンションの坪数はどう測る?

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建物の面積の測り方には「壁芯面積」「内法面積」があります。

建物の面積を見る際は、その面積が「壁芯面積」と「内法面積」のどちらなのかをきちんと理解しておく必要があります。

今日は、まず「壁芯面積」と「内法面積」がどのような面積なのかを解説し、壁芯面積と内法面積がどのような場所で使われているのか用法の差を紹介していきます。

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壁芯面積とは?内法面積とは?

まず「壁芯面積」と「内法面積」の読み方ですが、壁芯面積(へきしんめんせき / かべしんめんせき)、内法面積(うちのりめんせき)です。壁芯はかべしんと読む人の方が多いのかな?

壁芯面積も内法面積も建物の面積ですが、面積の測定方法が異なります。

壁芯面積も内法面積の測り方

  • 内法面積-壁、柱で囲まれた内側で測定した建物の面積
  • 壁芯面積-壁や柱の厚さの中心線で測定した建物の面積

言葉だと分かりづらいので実際の部屋の図面を用意しました。

どうでしょう。これなら一目瞭然じゃないでしょうか。一部屋のような図で描いていますが、何部屋もある建物の場合は、その建物の一番外側の壁(外気と分断している壁)の内側、中心線を測ります。

図を見ても分かるとおり、壁芯面積の方が内法面積よりも大きくなります。

壁芯面積 > 内法面積

壁芯面積と内法面積の差はどれぐらい?

壁芯面積と内法面積の差はどの程度あるのでしょうか?

どちらかの数字しか分からない場合に補正して片方の面積を推定するのですが、私は6%を使うことが多いです。一般的にいえば5~8%程度の差をみている人が多いと思います。

6%を標準として壁が薄いなと感じたら小さく、グレードも高く壁も厚くしっかりしていると感じたら6%よりも大きな数字を使っておけば大きく外れることはないかと思います。

計算の具体例

内法面積50平米から壁芯面積を推定する

50平米 × 1.06 =53平米(壁芯面積)

もちろん、壁の厚さによって壁芯と内法の差は異なりますのでご注意を

登記面積は壁芯?内法?

登記面積は壁芯面積なのでしょうか?それとも内法面積?

不動産登記法では、法第44条2項(建物の表示に関する登記の登記事項)に「道路の種類、構造及び床面積に関し必要な事項は、法務省令で定める」と記載されています。

省令である不動産登記規則をあたってみましょう。

不動産登記規則第115条(建物の床面積)

建物の床面積は、各階ごとに壁その他の区画の中心線(区分建物にあっては、壁その他の区画の内側線)で囲まれた部分の水平投影面積により、平方メートルを単位として定め、一平方メートルの百分の一未満の端数は、切り捨てるものとする。

建物の床面積は区画の中心線で測ると書かれていますので、つまり壁芯面積です。ただし、括弧書きにて区分建物(マンション)は「壁その他の区画の内側線」と規定され、内法面積とされています。

普通の戸建て住宅とマンションでは面積の測り方が違うんですね。ここは要注意です。必須の知識ですからね。

建物の登記面積

  • 戸建て住宅…壁芯面積
  • マンション…内法面積

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建築基準法は壁芯面積を採用

建築基準法では、建物の床面積は次のように規定されています。

建築基準法施行令2条1項3号

壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の面積

壁の中心線と書かれていますね。つまり、建築基準法では、壁芯の考え方を採用していることが分かります。

マンションの広告の面積は壁芯?内法?

一戸建て住宅の場合は、登記面積と不動産広告にかかれている建物面積はほぼ一致します。よっぽどのことがない限り同じ数字となってますが。マンションは要注意です。

さきほど書いたとおり、マンションの登記面積は内法面積ですが、マンションの不動産広告・物件広告に書かれている建物の面積は壁芯面積なんです。

中古マンションの場合は内法面積となっている場合も稀にありますが、新築マンションの場合はほぼ100%壁芯面積と考えてもよいでしょう。なぜかって?壁芯面積の方が面積を大きく表示できますからね。それだけが理由ではありませんが、マンションの場合は登記面積よりも大きい壁芯面積が物件広告の面積となっていることを覚えておきましょう。

マンション広告は壁芯面積

住宅ローン減税制度を使用するときは面積に注意!

住宅ローン減税制度は、住宅ローンを借入れて住宅を取得する場合に、取得者の金利負担の軽減を図るための制度です。

毎年末の住宅ローン残高又は住宅の取得対価のうちいずれか少ない方の金額の1%が10年間に渡り所得税の額から控除されますので、利用している人もかなり多い制度ですね。

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住宅ローン減税を受けるためには要件が必要となります。

参考 国土交通省すまい給付金|住宅ローン減税制度利用の要件

住宅ローン減税制度利用の要件

  • 自ら居住すること
  • 床面積が50平米以上であること
  • 中古住宅の場合、耐震性能を有していること
  • 借入期間や年収についても要件あり

問題となるのは「床面積が50平米以上」の要件ですね。

「床面積が50m2以上であること」の床面積は?

上にURLを貼った、国土交通省すまい給付金のサイトにもきちんと書かれていますが、床面積は登記面積を採用するとしています。

つまり、戸建て住宅の場合は壁芯、マンションなどの共同住宅の場合は内法面積です。

不動産広告で50平米付近のマンションである場合には特に要注意。住宅ローン減税を受けることができない可能性もあるので、不動産広告の面積ではなく不動産登記の面積(内法面積)を必ず確認する必要があります。

50平米を切ってしまう例

専有面積52平米

内法面積は? 52平米 ÷ 1.06 =49平米!?

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減税のことを考える前に、住宅ローンを借りる際にも面積制限があります。

住宅ローンには面積制限がある。

金融機関の住宅ローンには面積制限がある場合がほとんどです。

例えば、全期間固定金利型住宅ローンのフラット35には次のような面積制限があります。

フラット35の面積制限

一戸建て住宅、連続建て住宅並びに重ね建て住宅の場合は70m2以上、共同住宅の場合は30m2以上が要件となります。(上限はありません。)

引用 フラット35|住宅の床面積に制限はありますか

この場合、マンションなどの共同住宅は、30平米以上との面積制限がありますね。もちろんこの面積も登記面積をさします。

マンションの広告で30平米との記載があっても、何度も書いているとおりその面積は壁芯面積で登記面積(内法面積)とは異なります。

とすると、広告で30平米のマンションは住宅ローンが受けられない可能性が高いです。

各金融機関の販売する住宅ローンは、各行それぞれの審査基準があります。面積要件もそれぞれ異なりますので、個別で確認してみてください。

参考 住宅ローンの審査(仮審査・事前審査)の20つの基準。審査に落ちる人とは?

まとめ

ひとえに面積といっても色々あって難しいですね。間違えると受けられるはずだった減税が受けられなくなったりもするのできちんと理解して区別することが必要ですね。

面積に関しては住宅を建てる際の坪単価を計算する際の面積についての記事「住宅の坪単価とは?比較するときは床面積の違いに注意しましょう。」も書いています。合わせてお読みくださいね!

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