借地権割合とは何でしょうか?
どのように調べることができるのでしょうか?
この記事では借地の基本を確認するとともに、借地権割合とは何か、その求め方について解説します。
借地権とは?底地とは?
借地権とは何なんでしょう?
借地権とは、建物の所有を目的とする賃借権および地上権のことをいいます。
ここで大事なところは「建物の所有を目的」とする点です。つまり、駐車場目的の賃借権や地上権は借地権とはいいません。
底地とは?
借地権と対になる言葉が底地です。底地についても簡単に触れておきます。
底地(そこち)とは、借地権が付着している場合の土地の所有権のことをいいます。
勘違いされている方が多いのですが、駐車場目的や資材置き場などの目的の賃借権(又は地上権)が付着している土地の所有権は一般的には底地とはいいません。
借地権には普通借地権や定期借地権など、契約によって色々な種類がありますが、借地権の種類については別記事「普通借地権と定期借地権の違い。旧借地権とは何?」にて解説しています。
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借地権割合とは?
借地権が土地に付着した場合、土地の所有権は所有者の底地の権利と、借りている借地人の借地権の2つに分けられます。
例えば、1000万円の土地だったとしても、土地所有者は1000万円の価値を自分だけで保有しているのではなく、借地権価格を除いた分だけが所有者の有する価値(底地の価値)となります。
借地権割合は、土地価格に対する借地権価格の割合です。
実際に借地権割合を計算してみましょう。
土地価格:1000万円
借地権価格:600万円
借地権割合 = 借地権価格 ÷ 土地価格 =600万円 ÷ 1000万円 = 60%
借地権割合はなぜ必要?
借地権割合は借地権や底地の売買の際の参考になります。
また、課税財産の評価、具体的には相続、遺贈、贈与などにより借地権を取得したときの財産評価の際に使用されます。
借地権割合の調べ方
借地権割合は、国税庁のホームページ(路線価)により調べることができます。
路線価は課税財産の評価の際に使用されるものですが、一般の売買の際にも参考にされるものです。
借地権の売買に当たっては、個別の不動産の契約内容などをもとに借地権割合を求めるのが原則です。しかし借地権割合の求め方は専門家にとっても難しく、その手法もきちんと確立していないことから、路線価の借地権割合が使われることも実務上多いです。
借地権割合を調べてみる
では、路線価図を用いて実際に借地権割合を調べてみましょう。
調べたい土地の道路に数字とアルファベットが書かれているので、まずはこの数字とアルファベットを調べましょう。
下の例でいえば、105Dと書かれています。
105Dは、路線価(土地の単価)が105(105,000円/平米)で、借地権割合がDという意味です。
借地権割合のアルファベットは下の借地権割合を意味します。
記号 | 借地権割合 |
A | 90% |
B | 80% |
C | 70% |
D | 60% |
E | 50% |
F | 40% |
G | 30% |
つまり、Dは借地権割合が60%ということです。
- 路線価:105 (1平米当たり105,000円)
- 借地権割合:D (60%)
借地権価格の計算
例の土地が200平米だったとしましょう。借地権価格はいくらになるのでしょうか?
- 更地価格:105,000円/平米 × 200平米 = 21,000,000円(2100万円)
- 借地権価格:2100万円 ×60%(借地権割合)= 1,260万円
- 底地価格:2100万円 - 1260万円 = 840万円
借地権割合の相場
路線価図を眺めてもらえれば分かりますが、借地権割合は地価が高い地域は割合が大きく、地価が低い地域は割合が小さくなる傾向があります。
具体的な地域を例示しますので、借地権割合の相場をイメージしてもらえればと思います。
銀座の高度商業地の借地権割合
銀座や丸の内などの日本を代表する商業地の借地権割合は80%~90%が多いです。
それだけ借地権の価値が高いということですね。
高級住宅街の借地権割合
地価水準にもよりますが、高級住宅街の借地権割合は60%~70%程度です。
下の路線価図は大田区の田園調布駅周辺です。駅周辺の利便性の高い場所(地価の高い場所)は70%、少し駅から離れると60%となっているのが分かると思います。
標準的な住宅街の借地権割合
標準的な住宅街の借地権割合は50%~60%程度です。
下の路線価図は八王子市のめじろ台の借地権割合です。60%が多くなっていますね。
その他、地方都市になると50%が増えてきます。更にもう少し辺鄙な地域になれば30%~40%が標準的です。
借地権割合・路線価のまとめ
今回は借地権割合をピックアップして解説しました。
路線価の見方や路線価を使った土地価格査定方法については、別記事「路線価の見方や計算方法、実勢価格との関係を解説します。」にて、詳しく解説しています。ぜひこちらも読んでみてください。
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