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未活用の工場施設、学校施設の跡地利用に関する調査報告書について

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平成28年3月に(一財)日本立地センターから発表されている、「平成27年度地域経済産業活性化対策調査(未活用の産業用地・施設及び工場跡地・空き工場等の利活用実態及び利活用促進策に関する調査・分析)報告書」というものがあります。

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タイトルが長いですね(笑)

つまりは工場、学校などの空いてしまった大規模施設の跡地利用に関する報告書です。

調査主体は経済委産業省で、平成27年度経済産業省委託事業として調査がなされています。内容をみると面白い調査なんですが、せっかくお金をかけて調査をしたんですからきちんとアピールをして欲しいですね。見る人が少ないのではせっかくの充実した調査も宝の持ち腐れです。

では少し紹介していきたいと思います。

参考 経済産業省|報告書(PDF)

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調査内容

調査内容は次の3つです。

  • 工場跡地等に対する民間企業のニーズ、実際の利活用時の支援ニーズ・障害、土地の利活用に関連した法令・要綱等に関する情報収集
  • 地方自治体等による工場跡地等の利活用促進に向けた取り組みに関する情報収集
  • 有識者への意見聴取による政策提言の検討

概要

工場跡地は工場立地が盛んな関東近郊などでも多く存しており、立地希望企業も多いですが需給のミスマッチが生じており、その有効活用は重要な課題となっています。また、学校跡地は全国で毎年累積して増えていく状況にあり、廃校は毎年400~500校程度生じています。

特に学校跡地については、各地方公共団体では緊迫な問題となっており、地価の高い地域であれば建物を取り壊して他用途への転換を図ることもできますが、農村集落などの人口減少が著しい地域では多額の学校取壊し費用を用意することもできず、跡地利用にはなかなか苦労しているようです。

また学校跡地では公立学校施設整備費補助金等を利用していることから財産処分に文部科学省の承認が必要などの手続きが必要となります。そのため早期利用を考える企業者からすると事業計画の策定が困難になります。また、学校跡地の利用については地元の理解も必要であることから、地元住民の雇用を生み出さない活用は地元に反対される傾向もあるようです。

本調査報告書では、学校跡地の利活用事例も豊富に紹介されており、ミュージアムなどの観光目的での利用や高齢者福祉施設への利用、大型商業施設、文化施設としての利用など全国では多様な用途に活用されていることが分かります。

面白かったのでいくつか調査報告書から引用して紹介したいと思います。

観光型工場としての活用|旧大和第3小学校

茨城県行方市の小学校跡地を工場、物販、ミュージアム施設に転換利用した事例

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高齢者福祉複合施設等としての活用|旧宇田小学校

山口県阿武町の小学校跡地をグループホーム、デイサービス、高齢者支援施設等に転換利用した事例

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ミュージアム等として活用|旧桜中学校

福島県三春町の中学校跡地を企業のミュージアム、オフィスに転換利用した事例

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10件程度の利活用事例が写真とともに紹介されているのと同時に近年の学校跡地活用事例も表で紹介されています。

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廃校を宿泊施設として活用している例も紹介されていますが、インバウンドで宿泊施設を増やす政策が望まれる昨今においては有効な活用事例となるんじゃないでしょうか。

最後には、工場所有者や学校所有者へのアンケートも紹介されていますが、跡地活用の課題などのアンケートもなされており、需給のミスマッチの問題が浮かび上がります。

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まとめ

不動産鑑定士という仕事をしていると、公共団体から学校跡地の処分についての相談や鑑定評価の依頼が来たりします。特殊な使われ方をしている施設なので、出口を想定するのも難しいですし、いつも頭がこんがらがってしまって悩みながら評価をしています。

本調査報告書には実際の廃校跡地利用事例が豊富に紹介されているだけでなく、公立学校施設整備補助金等に係る財産処分手続きや古くからの学校が抱える問題”既存不適格建築物”としての問題などの政策的・法律的な問題も説明が加えられています。

参考 平成27年度地域経済産業活性化対策調査(未活用の産業用地・施設及び工場跡地・空き工場等の利活用実態及び利活用促進策に関する調査・分析)報告書

前年度にも同様の調査がなされています。産業立地・工場跡地・学校跡地の需給ミスマッチについてと解消への取り組みについて詳しく書かれています。

参考 平成26年度地域経済産業活性化対策調査(跡地等を含む産業用地・施設等の需給動向の把握・分析)

 

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