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新しい用途地域「田園住居地域」の規制内容をまとめてみました。

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参考 不動産実務TIPS|FACEBOOKページ

平成29年2月10日の話ですが、都市緑地法の一部を改正する法律案が閣議決定しました。

都市緑地法等の一部を改正する法律案

都市における緑地の保全及び緑化並びに都市公園の適切な管理を一層推進するとともに、都市内の農地の計画的な保全を図ることにより、良好な都市環境の形成に資するため、緑地の保全及び緑化の推進に関する基本計画の記載事項の拡充、公園施設の設置又は管理を行うことができる者を公募により決定する制度の創設、農業と調和した良好な住環境を保護するための田園住居地域制度の創設等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

この改正案の目玉の一つは、新しい用途地域「田園住居地域」の創設です。

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現在の用途地域

現在の用途地域をおさらいしてみましょう。

平成4年の都市計画法及び建築基準法の改正(平成5年6月25日施行)により現在の用途地域になっており、用途地域は8種類から12種類になりました。

住居系は7種類、商業系は2種類、工業系は3種類となっています。この12種類は不動産関連の仕事に就いている方ならば御馴染みの用途地域じゃないでしょうか。

現行の用途地域

  1. 第一種低層住居専用地域
  2. 第二種低層住居専用地域
  3. 第一種中高層住居専用地域
  4. 第二種中高層住居専用地域
  5. 第一種住居地域
  6. 第二種住居地域
  7. 準住居地域
  8. 近隣商業地域
  9. 商業地域
  10. 準工業地域
  11. 工業地域
  12. 工業専用地域

新しい用途地域「田園住居地域」の創設

新しく追加される用途地域の名前は「田園住居地域」。上の現在の用途地域の準住居地域と近隣商業地域の間に加わることになります。住居系の用途地域が現在の7種類から8種類に追加、細分化されます。

「都市緑地法等の一部を改正する法律案」を閣議決定~都市の緑空間の保全・活用によって潤いのある豊かなまちづくりを推進します~

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 国土交通省は、都市計画法で定める用途地域の類型に「田園住居地域」を追加する方針を固めた。用途地域が増えるのは1992年に8種類から現在の12種類となって以来、およそ四半世紀ぶり。また、生産緑地の面積要件を見直し、現在の「500平方メートル以上」から、市区町村の判断で「300平方メートル以上」まで引き下げ可能とする意向だ。今通常国会に提出する都市計画法や生産緑地法などの改正案に盛り込む。
(中略)
この他、生産緑地法の改正案には、生産緑地に造れる施設の類型を増やし、新たに農家レストランや直売所を設置できるようにする。現在、生産緑地に建てられるのは農機具の保管場所などに限られているが、都市部の農地を将来にわたって保全するためには、経営の安定が重要と判断。レストランなどの設置も認めることにした。

「田園住居地域」創設の目的

住居、商業、工業その他の用途を適切に配分し、建築物の用途、形態等を制限
農地と調和した低層住宅に係る良好な住居環境の保護を目的とする

農地が比較的多い住居専用地域では、農業用施設の建築には個別許可が必要
建築規制(低層住居専用地域をベースに農業用施設の立地を限定的に許容)

生産緑地以外の農地は宅地化が進行
農地の開発規制(許可制、一定の小規模の開発は可能)

新しい用途地域、田園住居地域の概要

「田園住居地域は、農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護する用途地域とするものとすること」とされています。

田園住居地域の規制内容

田園住居地域に関する都市計画については、建築物の建蔽率、壁面の後退距離の限度及び建築物の高さの限度が定められます。

その他田園住居地域内においては建築等の規制があり、田園住居地域内の農地において行われる土地の形質の変更等については、市町村長の許可が必要となります。

また、建築基準法で田園住居地域における建築物の敷地、構造、建築設備及び用途に関する制限が定められます。

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田園住居地域ではどのような建物が建築可能なのか?

田園住居地域には第一種低層住居専用地域に建築可能な建築物に加え、下の建物を建築することができるようになります。

田園住居地域内に建築することができる建築物

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田園住居地域で建築できる建築物

  • 第一種低層住居専用地域に認められた建築物
  • 農産物の生産、集荷、処理または貯蔵に供するもの
  • 農業の生産資材の貯蔵に供するもの
  • 地域で生産された農産物の販売を主たる目的とする店舗その他の農業の利便を増進するために必要な店舗、飲食店その他これらに類する用途に供するもののうち政令で定めるものでその用途に供する部分の床面積が500㎡以内のもの
  • 前号に掲げるもののほか、店舗、飲食店その他これらに類する用途に供するもののうち政令で定めるものでその用途に供する部分の床面積の合計が150㎡以内のもの
  • 前各号の建築物に附属するもの

農業生産に関する建築物のほか、店舗や飲食店(面積要件あり)も建築可能になるんですね。都市農地の保全・活用の一環として、生産緑地地区内で直売所、農家レストラン等の設置を可能とすることを目的とする緩和の一つです。

詳しい法律改正の背景、法律の新旧対照表は国交省のホームページに記載されています。

参考 国土交通省|「都市緑地法等の一部を改正する法律案」を閣議決定

私も不動産の仕事についてから、初めての用途地域追加です。実務的な対応含め、勉強することが多々ありそうですね。

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建ぺい率と建蔽率

この一連の法改正でもう一つ気になったのが、建ぺい率とひらがなだった「ぺい」が「蔽」と漢字に変更されることです。

法律関係の用語は簡略化されてきており、難しい漢字が減ってきている流れかと思っていたんですが、難化することもあるんですね。

建ぺい率 → 建蔽率

書類を作成する上では「建蔽率」と漢字で書くことも多くありましたが、法律用語としての「建ぺい率」が「建蔽率」と漢字に変わることになります。

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