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不動産競売事件の減少が続いている?司法統計のデータをまとめてみた。

更新日:



不動産競売が減っています。

これは競売制度の一端を担う評価人候補者も肌感覚で実感しているところではありますが、どのくらい減っているんでしょう。統計資料を探していたら裁判所の司法統計に載っていました。

司法統計

司法統計(しほうとうけい)とは、裁判所が取り扱う事件の統計である。

日本においては、最高裁判所事務総局が集計結果を司法統計年報(~ねんぽう)及び司法統計月報(~げっぽう)として取りまとめ、刊行している。また、日本の司法統計は、裁判所のホームページにも掲載されている。

引用 wikipedia|司法統計

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更新日現在では平成27年の統計数字が最新となります

不動産競売の事件数

不動産競売には担保権の実行としての競売と強制執行としての競売があります。

不動産競売の種類

  • 担保不動産競売:担保権の実行として行う。ケ事件
  • 強制競売:強制執行にて行う。ヌ事件

司法統計の事件数もこの2種類で分けられて数字がまとめられているので、分けて分析することとします。

PDF 競売事件数の推移(H27)

不動産競売の事件数についての統計

司法統計は下の裁判所サイトの個別ページより検索することができます。

URL 裁判所|司法統計

年度と編分類名を選びますが年度は調べたい年度を、編分類名は「民事・行政事件編」を選択します。

第101表までいくと「民事執行既済事件数-事件の種類及び終局区分別-全地方裁判所」という項目の表があります。この表の「不動産等を目的とする担保権の実行としての競売」及び「不動産等に対する強制競売・強制管理」の項目の数字を採用しています。

2016-03-30_10h53_02

担保不動産競売の事件数

系列1が事件数、系列2がその内取り下げられた件数になります。

 事件数取下げ割合
H1282,87916,81920.3%
H1376,50615,65820.5%
H1473,33016,51422.5%
H1574,11217,60423.8%
H1669,44117,64425.4%
H1766,32316,08424.3%
H1861,04614,33323.5%
H1951,43011,66822.7%
H2049,90711,49323.0%
H2164,25414,65622.8%
H2260,19812,97521.6%
H2345,54910,21222.4%
H2439,7588,87422.3%
H2533,5227,72223.0%
H2627,5866,03721.9%
H2723,0705,18322.5%

平成21年に一度増加していますが全体的な基調としては右肩下がり、事件数は減少傾向にあります。平成12年と比較すると平成26年は33%、15年近くで3分の1にまで減少しています。

調べてみて分かったんですが、取下げは全体のうち20%強でこれは変化なしです。

全体の20%程度が取り下げられる

強制競売の事件数

次に強制競売の事件数です。同じく系列1が事件数、系列2がその内取り下げられた件数になります。

 事件数取下げ割合
H1212,6857,10156.0%
H1310,9335,85253.5%
H1410,0345,23752.2%
H1510,1455,22751.5%
H169,3095,18555.7%
H178,4274,58754.4%
H188,0004,45755.7%
H196,2523,27852.4%
H204,6782,42051.7%
H214,7492,47152.0%
H225,0122,62752.4%
H235,0282,73554.4%
H244,4362,30451.9%
H254,2382,22852.6%
H264,2212,23552.9%
H274,3452,23651.5%

強制競売の事件数はほぼ毎年減少を続けています。平成12年と直近の平成26年を比較すると33%なので、担保不動産競売と同じ傾向ですね。どちらも3分の1まで落ち込んでいます。

強制競売は取下げの割合が多いことが特徴です。その割合はほぼ一定で事件数の50%は取り下げられます。担保不動産競売は約20%でしたね。比較しても倍以上の割合です。

まとめ

競売事件の減少が明らかになったと思います。

仕事としている執行官や評価人からするとあまり減りすぎると困ってしまいますが、一般市民としての感覚からすれば、競売事件の少ない世の中の方が好ましいんでしょうか。

減ってきた原因は色々あると思いますが、金融機関のスタンスの変化というものは大きな影響を与えていると思います。スタンスの変化の直接的な原因になっているかどうかは分かりませんが、「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」通称「モラトリアム法」の金融機関に与えた影響は大きいものがあったと推察できます。モラトリアム法施行前までは任意売買で片付かないような物件は司法競売にまわして回収を図りましょうという考えが大勢だったと思いますが、モラトリアム法施行後はリスケや返済猶予をして何とか企業を延命させようというスタンスになっています。モラトリアム法が終了したら、司法競売がどかんと増えると予想されている人も多かったですが、金融機関のスタンスは変わらず潰さないスタンスが踏襲されています。

一時は収入が良かったと言われる執行官も最近は厳しそうですし、競売を仕事の一つの柱としていた不動産鑑定士も言わずもがなです。

下の記事でも書いていますが「任意売却の方が司法競売よりも高く売れる」というのはデータの面から見ても間違いだと言われています。最近は競売に参加するプレーヤーも増えましたし、競り上がりで売却価格が決まるのでかなりの高額で落札されるケースも増えています。

任意売却は競売よりも高く売れるって本当?

任売(にんばい)。言葉は聞いたことがあるんじゃないでしょうか。正確に書くと任意売却のことです。 住宅ローンなどの融資をうけて住宅を購入した場合、住宅ローンがどうしても支払えなくなってしまったときに、住 ...

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