「[書籍紹介] 週刊エコノミスト 固定資産税を取り戻せ!全国で相次ぐ徴収ミス」という記事でも書いたとおり、固定資産税の課税ミスや固定資産税の裁判例が注目を浴びています。
不動産鑑定士も固定資産税の業務に評価という形で一部、業務を行っていることから気になりますね。
固定資産税の裁判例に関する書籍が2017年10月に2冊、別の出版社からですが出版されています。面白そうだったので2冊とも購入して今まさに読んでいるのですが、この2冊を紹介したいと思います。
最新判例でつかむ 固定資産税の実務|清文社
冒頭、固定資産税の特徴や、土地・建物の評価についての教科書的な説笑みがありますが、後半は事例集がメインになります。
最新の重要判例の紹介なので非常にためになり、知識も深まります。
面白そうな事例だけピックアップしてみたいと思います。
- タワーマンションと固定資産税
- 相続税における固定資産税評価額の利用
- 固定資産税評価額を時価として利用できるか
- 固定資産評価基準と適正な時価との関係が争われた事例
- 大型商業施設の固定資産税の課税標準額に関し収益還元方式によるべき特段の事情がないとされた事例
- 固定資産評価基準が定める経年減点補正率が低いことからそれによって評価する合理性がないとされた事例
上げた事例はほんの一部ですが、「タワーマンションと固定資産」に関しては、相続税回避のためにタワーマンションの購入が相続税対策としてよく使われていましたね。階層別効用比を導入するということでも話題になりました。
高層マンションの課税評価がどのようになるのかは別記事「居住用超高層建築物に係る課税の見直しはこうなる。」でも解説しています。
その他、固定資産税評価額と時価というのは、いつになっても話題としてなくならないトピックですね。
固定資産税の38のキホンと88の重要裁判例 多発する固定資産税の課税ミスにいかに対処するか|PROGRES
こちらの本も同じような内容になっています。
裁判例に見る納税者と課税側の真向対決! 払い過ぎた固定資産税を取り戻せ!!
本書では、第1編の固定資産税の「キホン」編で、固定資産税がいかにわかりにくく間違えやすい構造になっているかを明らかにし、第2編、第3編の「裁判例」編で、固定資産税をめぐって争われた最高裁及び下級審の88の重要な裁判例を紹介しています
目次をみていただければわかるんですが、「最新判例でつかむ 固定資産税の実務」よりもより具体的な内容となっています。裁判例も多いですね。
「朝鮮総連が使用する施設についての固定資産税の減免措置は認められるのか?」などというニュースでも話題になった内容もとりあげられています。
固定資産税評価のブラックボックス「需給事情による補正」に関する裁判例もとりあげられていますね。
参考 固定資産税、家屋評価における「需給事情による減点補正」とは?
どちらかだけを買えば大丈夫!という訳ではないので2冊とも買うことをお勧めします。
URL PROGRES|固定資産税の38のキホンと88の重要裁判例 多発する固定資産税の課税ミスにいかに対処するか
実務書に関しては、再版される可能性が低いので気になったらとりあえず購入が鉄則です。少し後で欲しくなって書店やamazonを覗いてみるともうなくなっていることが頻繁にあるので気をつけてくださいね。