「又は」と「若しくは」、「及び」と「並びに」の違いが分かるでしょうか?
日常生活での使い方はどちらも同様の意味で使われていることが多いです。
しかし法律用語としては「又は」と「若しくは」は明確に区別して使われています。「及び」と「並びに」も明確に区別されています。
この接続詞の使い方は、法律を学ぶ初学者にとって気を付けなくてはならない大事なポイントです。
この記事では「又は」と「若しくは」、「及び」と「並びに」の違いを分かりやすく解説していきます。
「又は」、「若しくは」、「及び」、「並びに」はいずれも選択的接続詞と呼ばれます。
「又は」と「若しくは」の違い
又はの使い方、用例
「又は」は2つ以上のことばを単純に並列する場合に使われます。
- A 又はB
- A、B又はC
などと使われます。法律の中での具体例としては
- 公の秩序又は善良な風俗
- 法律、命令又は規則
などです。A、B、Cはいずれも同列で並んでいます。
若しくはの使い方、用例
「若しくは」は、洗濯的接続の段階が複雑で二段階になる場合、小さい接続には「若しくは」が使われます。大きい接続には「又は」が使われます。
かたい説明だと分かりづらいので具体例で示します
- 国若しくは地方公共団体の公務員又は公共企業体の役員若しくは職員
ここでは「国」「地方公共団体の公務員」「公共企業体の役員」「職員」という4つが出てきますが、この4つが並列な関係ではありません。
下の説明のとおり、大きな集まりとして「国若しくは地方公共団体の公務員」「公共企業体の役員若しくは職員」があります。
その中に、「国」「地方公共団体」そして「役員」「職員」という小さな接続があります。
又はが使われるのは一番大きい接続だけです。小さい接続は何段階であっても「若しくは」を使うのが法律のルールです。
「及び」と「並びに」の違い
及びと並びにも、本来の意味では別に差はありません。では法令用語としてはどのように使い分けられているでしょうか
及びの使い方、用例
「及び」は2つ以上のことばを単純に並列する場合に使われます。
- A 及びB
- A、B及びC
などと使われます。法律の中での具体例としては
- 大使及び公使
- 憲法改正、法律、法令及び条約
並びにの使い方、用例
接続の段階が二段階になるとき、小さい接続には「及び」を、大きい接続には「並びに」を用います。
こちらも具体例を示しましょう
- 国及び地方公共団体の公務員並びに公共企業体の役員及び職員
文章の中には大きな集まりとして「国及び地方公共団体の公務員」と「公共企業体の役員及び職員」があります。その中に、「国」「地方公共団体」そして「役員」「職員」という小さな集まりがあります。
一番小さな接続だけに及びを使い、それよりも大きい接続は(いくつであっても)「並びに」を使うのが法律用語のルールです。
むかしは、一番大きい接続だけを「並びに」でつなぎ、それよりも小さな接続には「及び」を使うやりかたも行われていました。
まとめ
「又は」と「若しくは」、「及び」と「並びに」の使い方は実際に法律の中で触れて学んでいかないと身に付きません。
条文を見ても分かりづらい場合は、それぞれの集まりに丸を付けて、どの集まりとどの集まりが接続しているのかを考えるのも一つの方法です。