マンションなどの区分所有建物の登記は、建物と土地(敷地)が一体化した敷地権という登記がなされる場合がほとんどです。
しかし、敷地権の登記がなされていない非敷地権の登記も日頃多く目にします。
では、敷地権の登記と非敷地権の登記ではどのような違いがあるんでしょうか。
また、敷地権の登記はいつからはじまったんでしょうか。
敷地権の登記はいつからはじまったのか
敷地権の登記は、昭和59年1月1日の「不動産登記法」改正によりできた制度です。
しかし、法改正後の昭和58年以降のマンション登記(区分所有建物の登記)は、すべて敷地権の登記がなされているかといえば、そうではありません。
マンションには管理組合による管理規約がありますが、この管理規約によって建物と土地(建物と敷地)の一体性の原則を排除することもできます。
つまり、管理規約によって定めれば敷地権の登記をしないこともできます。つまり非敷地権です。
敷地権と非敷地権の違い
敷地権の登記がなされると専有部分と敷地利用権が一体化され、建物の登記記録に記録された登記事項は、土地の登記記録としても同一の効力を有することになります。
これを一体公示の原則といいます。
まず、敷地権の登記がなされた登記記録には何が記載されているのかを簡単にまとめてみましょう。
区分所有建物の登記記録の表題部
- 専有部分の家屋番号
- 不動産番号
- 所在
- 建物の名称
- 構造
- 床面積
- しきちけんのもくてきである土地の表示
敷地権の表示の登記
敷地権がある場合、区分所有建物の表題部に敷地権の表示をしなければなりません。
- 敷地権が発生した日付
- 敷地権の種類
- 敷地権の割合
敷地権の登記がない(非敷地権)マンションはどうなってる?
敷地権の登記がない場合、登記はどうなっているのでしょうか。
マンションを想定して解説してみましょう。
敷地権の登記がない場合、建物と土地の登記は別で存在します。
敷地権の登記がなされると土地と建物は分離処分ができなくなりますが、非敷地権の場合には土地と建物は別に処分することが可能です。
土地は区分所有建物の所有者全員の共有になっています。
共有持分の割合は、専有部分の床面積の割合によることが多いです。
マンションを売買すると、建物の登記を所有権移転するだけではなく、土地の共有持分も移転しなければなりません。
マンションを担保にお金を借りる場合は、土地(共有持分に対して)にも抵当権の登記をしなければなりません。
土地の登記記録は、全ての区分所有建物の移動がすべて記載されるので膨大な量になります。
土地が一筆であれば負担も少ないですが、複数筆の上にマンションが建築されている場合、その全てに土地の共有持分が必要なため、さらに煩雑になります。
敷地権と敷地利用権の違い
最後に、敷地権と敷地利用権について、その違いを解説します。
区分所有建物の専有部分を所有するための敷地の利用権を敷地利用権といいます。
敷地利用権の代表的なものは所有権です。そのた、地上権や賃借権、使用借権などによる場合もあります。
土地の登記記録に登記された敷地利用権であって、かつ専有部分と分離処分することができないものを特に敷地権といいます。
つまり、敷地を利用する権利一般のことを敷地利用権といい、その中で登記され分離処分が禁止され一体公示されたものだけを敷地権といいます。