不動産の専門職をしていても、建物の構造や造りについては意外と疎いものです。
私が職業としている不動産鑑定士も建物の知識が圧倒的に足りないと言われていますし、知り合いの宅建士さんに聞いても建物の内部のことはよく分からない人が多いようです。
例えば、木造住宅でよくある「在来軸組工法」と「枠組壁工法(ツーバイフォー工法)」。教科書的に在来軸組工法は「線」、枠組壁工法(ツーバイフォー工法)は「面」ということは知っていても、実際どんな風に作られているかはあまりよく分かりません。
しかし、建物の造りは大切です。
例えば木造住宅をみるときに、壁の中、床下、天井裏がどうなっているかが分かっていないと何も調査することができません。
建物の中身、構造を知るには現地で建築士さんなどの専門家の指導を受けながら学習することが一番効果があります。
しかしなかなかそんな機会はありませんよね。
最近購入した「建物できるまで図鑑(木造住宅/RC造・鉄骨造)」は書籍で建物の中身・構造が分かる良書でした。
建物できるまで図鑑(木造住宅)の良いところ
木造住宅の2大建築工法は在来軸組み工法と枠組壁工法です。
- 在来軸組み工法
- 枠組壁工法
書籍ではこの2種類を章で分けて説明します。
建物ができるまで図鑑の良いところは、住宅ができるまでの流れを図解をもって説明してくれるところです。
住宅を建てるにはまずは基礎の工事ですが、布基礎とベタ基礎の工事はどのように違うかについても説明してくれます。
- 基礎をつくる/布基礎とベタ基礎
- 土台を据える
- 柱(通し柱・管柱)を立てる
- 梁(胴差・床梁・軒桁・小屋梁)を架ける
- 筋かいと火打を設ける
- 小屋組を設ける
- 野地板・間柱・まぐさ・窓台を設ける
- 屋根葺き・壁防水・開口部を設ける
- 床組をつくる
- 内外装の下地を設ける
- 内外装の仕上げをして完成
住宅建設の流れが豊富なイラストと写真で分かりやすく解説されています。
各部のつくり、種類を解説
屋根にはどんなものがあるでしょうか。外壁には何があるでしょうか。
屋根の主な仕様には、瓦葺き、スレート葺き、金属板葺きがあります。外壁には、モルタル仕上げ、サイディング仕上げ(窯業系・金属系)、金属板などがあります。
この住宅の各部の仕様をイラストや写真でも解説しています。
例えば窯業系サイディングであれば、内部がどのような作りになっているのかも図解されているので、実際の住宅をみるときにも想像力が生まれるんじゃないでしょうか。
- 屋根葺材の種類(桟瓦葺き・化粧スレートぶき・金属板葺き)
- 外周壁仕上げの種類(モルタル壁仕上げ・窯業系サイディング仕上げ・金属系サンディング仕上げ・外張り断熱)
- 間仕切壁仕上げの種類(クロス張り・左官仕上げ・タイル張り仕上げ)
- 天井
- 上階床
- 接地床
- 引き違いサッシ
- 玄関ドア
- 開き戸
- 引き戸
第3章は枠組壁工法の住宅の説明
第3章は枠組壁工法の住宅建築の解説です。この章も目次を示します。
- 基礎をつくる
- 1階床枠組をつくる
- 1階壁枠組をつくる
- 2階床枠組をつくる
- 2階壁枠組をつくる
- 小屋組をつくる
- 屋根葺き・内外装の下地をつくる
- 内外装の仕上げをする
まとめ
建物ができるまで図鑑には今紹介した木造住宅だけではなく、「RC造・鉄骨造」編もあります。
2冊買うことによって建物建築、建物の内部構造の知識は格段に広がります。
不動産を扱う人、特に建物のことってよく分からないなって方には読んでいただきたい書籍です。
また、有名ハウスメーカーが、在来工法・ツーバイフォー工法、鉄骨住宅など、どの建築工法を採用しているかについての記事「在来工法・ツーバイフォー工法、鉄骨住宅、ハウスメーカーはどっちを採用?」も書いています。是非参考にしてみてください。
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在来工法・ツーバイフォー工法、鉄骨住宅、ハウスメーカーはどっちを採用?
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