建築基準法には「特殊建築物」という用語があります。
先日、建築物の定義について説明する記事を書きましたが、建築物と特殊建築物は何が違うんでしょうか?
特殊建築物の定義
特殊建築物は、火災発生のおそれが大きいなどの用途上の理由から、防火や避難などに関する規制が、ほかの建築物よりも厳しく適用される建築物です。
どのような建物が具体的に特殊建築物に該当するかは、建築基準法第2条(用語の定義)に記載されています。
特殊建築物
学校(専修学校及び各種学校を含む。以下同様とする。)、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途に供する建築物をいう。
戸建住宅や事務所などは特殊建築物に含まれません。
次に、特殊建築物に該当するかどうか紛らわしい建築物について説明します。
共同住宅・長屋の違いは?特殊建築物に該当する?
共同住宅はアパート、マンションと呼ばれるものですね。
共同住宅には複数の住戸がありますが、共同住宅には共用部があります。共用部分とは、廊下・階段・エントランスなどですね。大規模なマンションですと集会場などもある場合があります。
それに対して、長屋は各戸が独立しています。各住戸の玄関は共用部分を介さず直接道路などの外部と行き来ができます。
大事なことですが、共同住宅は特殊建築物に該当しますが、長屋は特殊建築物には該当しません。
用途 | 特殊建築物 |
共同住宅 | 該当する |
長屋 | 該当しない |
共同住宅と長屋の違いは、別記事「長屋とは(棟割長屋と重層長屋)?共同住宅とはどう違う?」で詳しく解説しています。
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長屋とは(棟割長屋と重層長屋)?共同住宅とはどう違う?
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シェアハウスは?
シェアハウスという形態の賃貸も一般的になってきました。
シェアハウスは、各寝室が1つの居室として扱われます。シェアハウスは寄宿舎として扱われるので、特殊建築物にも該当します。
二世帯住宅とは?
二世帯住宅は複数世帯で1つの建物を利用する形態です。
世帯ごとの利用部分が完全に分かれていれば長屋として扱われます。廊下などで住戸間を行き来できる場合には、戸建住宅と同じです。
したがって、二世帯住宅は特殊建築物には該当しません。