家が競売にかけられることになってしまった。又は、競売にかけると金融機関(債権者)から言われている。
債務者である私たちはどのように対応すれば良いのでしょうか?
競売とは別の不動産売却方法として任意売却がありますが、競売と任意売却の違いはどこにあるんでしょうか?競売と任意売却にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
不動産鑑定士として不動産競売実務にも携わっている筆者がこれらの悩みの解決法を紹介していきたいと思います。
「競売 任意売却」と検索をすると、任意売却を説明するサイトがたくさんヒットします。でも、一般のサイトでは、不動産屋さんが解説しているサイトばかりなので、自分たちの仕事になるように任意売却のメリットを紹介するばかりです。
本当に任意売却にはメリットしかないんでしょうか?不動産競売ってそんなに悪いことなんでしょうか?
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任意売却と競売の違い
とあるサイトでは任意売却と競売の違いが次のように紹介されていました。
では、本当に正しいのでしょうか?
売却方法 | 任意売却 | 競売 |
価格 | 市場価格に近い金額 | 市場価格の5〜7割程度の価格 |
プライバシー | 事情を知られず売却が可能 | 近所職場にいる知られる可能性あり |
引っ越し代 | 捻出できる | 捻出不可能 |
資金の持ち出し | 一切なし | 基本的になし |
返済金額 | 多い | 少ない |
現金が残る可能性 | ある | ほぼ無い |
残債務の交渉 | できる | できない |
退去日 | 事前に協議の上、決定できる | 裁判所からの強制執行もある |
完了までの期間 | 短め | 長め |
競売では安く売られてしまうのか
任意売却をすすめるサイトを見ると、必ず書いてあるのが「競売での価格は約3割〜5割安くなる」ということです。
本当にそうなんでしょうか?
競売では物件の情報が記載された3点セットが公開されており、その中に「評価書」があります。
評価書は私のような不動産鑑定士が価格を判定し表示したものですが、その中には「売却基準価額」というものが記載されます。確かに売却基準価額は市場での価格よりも約3割〜4割ほど安く査定されます。
しかし、実際に競売市場で売却される価格は、ほぼ市場価格に近いものです。競売では入札によって落札者が決まりますが、特に住宅やマンションなどは、入札者も多いことからかなり高い値段で落札されます。
競売は特殊な市場なので入札参加者も少なく、安い価格で売却されるというのは昔のこと。今では市場参加者も多く、価格も一般の不動産市場と同じように、物件によっては加熱されてかなり高額での取引がなされています。
実際に競売での落札価格を調べた記事もあります。「任意売却は競売よりも高く売れるって本当?」是非読んでみてください。
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任意売却は競売よりも高く売れるって本当?
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プライバシーは守られるのか
競売の手続きが開始されてしまうと、不動産の登記に競売開始決定がなされた旨の登記がされます。
しかし、一般の人が他人の不動産登記を調べることは、ほぼないので誰かにばれるということはないでしょう。
競売の調査がひととおり終わり、売却のための告知がされると、新聞やネットに競売物件として公告がされます。写真や地番なども記載されてしまうので、ここでは自宅が売却されることが他人に知られてしまいます。
引っ越し代は捻出できるのか
競売手続きでは引っ越し代を用意してくれるような制度はありません。
任意売却ではどうでしょうか?
任意売却の場合でも、誰かが引っ越し代を用意してくれるような制度はありません。ただ、不動産の売却代金の中から引っ越し代を捻出することは可能です。
売却代金の中からいくらを金融機関に返済するかは、債権者(金融機関)と話し合うことになりますが、よっぽどのことがない限り、次の生活のために必要な費用は残してくれます。
次の生活のために必要な費用というのは引っ越し代も含まれます。
資金の持ち出しは?
資金の持ち出しは基本的には任意売却でも、競売でもありません。
もちろん住宅を売買するのですから、全くお金がかからないということはありませんが、基本的には不動産の売却価格の中から捻出することになります。
返済金額は任意売却の方が多くなる?
ローンの返済は売却した不動産(住宅)からすることになりますので、高く売れればそれだけ返済金額は多くなります。
先ほど書いたとおり、競売だから一概に安く売られてしまうということは、今はありません。
応札者の多い競売の方が、高い値段で売却されるということも、珍しいことではありません。
返済金額が任意売却の方が多くなるというのは迷信です。
現金が残る可能はある?
不動産の売却金額は返済にあてられます。しかし任意売却では、その内、いくらを返済にあてて、いくらを次の生活のための資金として残せるかの話し合いが可能です。
しかし競売では、それはできません。任意売却の方が、債権者との話し合いは可能です。
ただ、競売をすると根こそぎ全部のお金を取られてしまうという意味ではありません。
これは残債務の交渉でも同じです。
競売だと退去しなければならない日が急に決まる?
競売だと退去日が急に決まる。とちまたでよく言われますが、これは全くの勘違いです。
競売の手続きがはじまって、不動産の調査などが行なわれます。実際に売却の公告がなされるのは競売手続き開始の5ヶ月ほど後になります。
競売によって買受人(購入者)が決まったとしても、すぐに立ち退かなければならない訳ではありません。民事執行法では60日の立ち退き猶予期間が認められています。
一般の不動産取引よりも、ゆとりをもって引っ越しの準備ができる期間だと思います。
これは、裁判所の書記官や執行官にもきちんと説明してもらえます。
完了までの期間は?
完了までの期間は、競売の方が長めです。
任意売却では、購入者を見つけるのが難しいような物件では長期化することもありますが、比較的売りやすい住宅やマンションでは、短い期間で売買がまとまることも多くあります。
実際、任意売却と競売はどちらが良いの?
任意売却と競売の手続きはどちらが良いというものではありません。
でも、出来たら自分の意思で家を売りたいという理由で任意売却を選ぶ方は多くいます。
とはいえ、地元の不動産屋では、競売手続きに詳しくないことから適切なサポートを得られないこともありますね。競売手続きが始まったとしても、債権者との交渉により競売手続きを止める(取り下げと言います)可能性はまだ残されています。
競売にかかりそうなとき、競売にかかってしまったときには、適切な専門家、競売に詳しい不動産屋さんに相談することが重要です。下で紹介する「任意売却相談センター」は、任意売却を専門とした不動産業者であり、パートナーとして弁護士も付いているので安心できます。
競売開始決定の通知がきたとしてもまだ遅くはありません。詳しい専門家に相談してみてはいかがでしょうか?
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