不動産業を開業するときに悩むのがハトとうさぎ、どちらに加入するかじゃないでしょうか。
ハトとうさぎと言っても動物ではありません。
ハトは(公社)全国宅地建物取引業協会連合会、うさぎは(公社)全日本不動産協会です。
シンボル | 団体名 | 略称 |
ハト | (公社)全国宅地建物取引業協会連合会 | 全宅連(ぜんたくれん) |
うさぎ | (公社)全日本不動産協会 | 全日(ぜんにち) |
この記事では全宅連(ハト)と全日(うさぎ)の違いについて解説します。
全宅連と全日の概要
全宅連と全日の概要をまとめました。
団体名 | (公社)全国宅地建物取引業協会連合会 | (公社)全日本不動産協会 |
略称 | 全宅連 | 全日 |
設立 | 昭和42年9月 | 昭和27年10月 |
会員数 | 約120,000業者 | 約34,000業者 |
割合 | 78% | 22% |
シンボルマーク | ハト | うさぎ |
シンボルの由来 | 会員とユーザーの信頼の絆 | 的確に情報をキャッチする耳、未来を見る眼、躍進するジャンプ力ある足をもった「うさぎ」 |
会費 | 高い | 安い |
ホームページ | 公式ホームページ | 公式ホームページ |
保証協会 | (公社)全国宅地建物取引業保証協会 | (公社)不動産保証協会 |
特徴としては、全宅連の方が会員数が多い!でも会費(入会費・年会費)もやや全宅連の方が高い(後で詳細します)ということです。
会員数、規模の全宅連
歴史と会費の安さの全日
全宅連と全日の入会金
全宅連(東京)の例
東京都宅建協会を例にして入会費用(主たる事務所・本店)を調べてみました。
内容 | 金額 | |
東京都宅地建物取引業協会 | 入会金 | 500,000円 |
不動産キャリアパーソン講座 | 8,640円 | |
年会費 | 48,000円 | |
全国宅地建物取引業保証協会東京本部 | 入会金 | 200,000円 |
弁済業務保証金分担金 | 600,000円 | |
年会費 | 6,000円 | |
東京都宅建協同組合 | 加入手数料 | 50,000円 |
出資金 | 30,000円 | |
賦課金(年額) | 18,000円 | |
合計 | 1,460,640円 |
注
- 会費・賦課金は入会月により異なる。
- 上記以外(関連団体等)の費用もある。
全日(東京)の例
(公社)全日本不動産協会東京都本部を例にして、入会費用(主たる事務所・本店)を調べてみました。
内容 | 金額 | |
全日本不動産協会 | 入会金 | 390,000円 |
年会費 | 45,000円 | |
印刷物代 | 2,000円 | |
不動産保証協会 | 弁済業務保証金分担金 | 600,000円 |
入会金 | 130,000円 | |
年会費 | 15,000円 | |
東京都不動産協会 | 入会金 | 50,000円 |
年会費 | 10,800円 | |
合計 | 1,242,800円 |
注
- この他に関連団体の会費・入会金があります。
- 年会費は入会月によって月割りになります。
- 入会費用については変更する場合もあります。
入会費用はどちらが高い?
上の表のとおり、全宅連(ハト)の方が全日(うさぎ)よりも20万円高い結果となりました。
どの地域に属するかによっても金額は異なってきますが、共通認識としては全宅連の方が10~20万円ぐらいは高いというもののようです。
全宅連か全日、どちらかの団体に属さなければならない?
営業保証金の供託義務って?
不動産業を始める場合は、営業保証金を法務局に供託することが義務付けられています。
宅地建物取引業法 第25条(営業保証金の供託等)
- 宅地建物取引業者は、営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託しなければならない。
- 前項の営業保証金の額は、主たる事務所及びその他の事務所ごとに、宅地建物取引業者の取引の実情及びその取引の相手方の利益の保護を考慮して、政令で定める額とする
- (以下略)
供託に必要とされる金額は、主たる事務所(本店)は1,000万円、従たる事務所(支店)は500万円です。
でも、不動産業の開業には事務所費用やその他、たくさんお金がかかりますよね。1,000万円を用意するのは非情に難しいです。
そこで、営業保証金制度に代わる制度が弁済業務保証金制度です。
弁済業務保証金制度とは?
弁済業務保証金制度は、各不動産業者が1,000万円の供託するのは難しいので、保証協会が宅建業者に代わって保証金を供託することで、営業保証金と同様の扱いを受けることができるとした制度です。
つまり、保証協会の社員になれば、営業保証金を支払う必要がないのです。
保証協会の社員になるには、弁済業務保証金分担金を保証協会に現金納付しなければなりません。その金額が主たる事務所は60万円、従たる事務所は30万円です。
1,000万円必要だった供託金が60万円で済むのです。
主たる事務所 | 従たる事務所 | |
営業保証金 | 1000万円 | 500万円 |
弁済業務保証金分担金 | 60万円 | 30万円 |
この保証協会が、全宅連系の(公社)全国宅地建物取引業保証協会と全日系の(公社)不動産保証協会です。
尚、一つの社員となると、他の社員となることはできないため、2つの保証協会の社員となることはできません。
弁済業務保証金分担金の額は、ハトでもうさぎでも金額は変わりません。
レインズ(REINS)が使える
レインズとは不動産流通標準情報システム(Real Estate Information Network System)の略称です。
会員同士で不動産物件の情報提供が行えるシステムです。
レインズは、東日本・中部圏・近畿圏・西日本の4地域に分かれて運用されています。
不動産業者としては必須のアイテムですが、このレインズを利用するには宅建業者であるほかに次の要件があります。
原則、以下の不動産流通機構(例として東日本)の構成団体のいずれかに入会して利用する。
- 各都道県の宅地建物取引業協会(ハト)
- 全日本不動産協会(ウサギ)
- 不動産流通経営協会
- 全国住宅産業協会
例外として会員外利用もありますが、原則としてハトやウサギなどの団体に属していないとレインズを使用できないのです。
「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」を締結した場合には、レインズへの登録義務があります。
レインズについては、別記事「レインズ(reins)とは?閲覧可能なのは誰?」で詳細に解説しています。
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レインズ(reins)とは?利用可能・閲覧可能なのは誰?
不動産業者のみが使える不動産情報のサイトにレインズ(REINS:不動産流通標準情報システム)があります。 REINSは Real Estate Information Network System の ...
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結局全宅連と全日どちらが良いの?
結局どっちが良いんだ!
となりますよね。でもこればかりは会社の考え方次第です。
会員数、規模の全宅連
歴史と会費の安さの全日
という特徴を考慮し、選んでいただければと思います。
尚、不動産の流通団体といった場合には、下の4つを指します。