空室率に関する記事を前回2本書きました。
参考 タス空室インデックス(空室率TVI)は満室の賃貸住宅を除いて計算をしているので注意が必要
参考 空室率を調べるために参考となる資料、レポートをまとめてみました。
では、そもそも空室率ってどのように計算するのでしょうか?空室率の計算方法についてまとめてみました。
空室率の計算方法
そもそも空室率とは何でしょうか。
空室率の定義
空室率の定義
マンションや貸しビルで空室のある割合
自用の物件では空室率はほとんど問題にならないですが、賃貸用物件では収益にダイレクトに影響する指標です。
空室率の求め方
空室率は全体のうちで空室のある割合を指しますが、何をベース(指標)に計算するかで求め方が異なります。具体的には空室率には次の求め方があります。
- 戸数ベースの空室率
- 床面積ベースの空室率
- 賃料ベースの空室率
それぞれについて説明してみます。
戸数ベースの空室率
下の例で戸数ベースの空室率について考えてみましょう。
戸数ベースの空室率を求めるには全戸数が何室あるのか、その内何室が空室となっているのかを把握する必要があります。
上の例でいくと全部で21戸、空いている空室は4戸となっていますので
4室÷21室=19%(空室率)
と空室率を求めることができます。
戸数ベースの空室率のメリット・デメリット
部屋数は比較的簡単に把握することができるので、計算のしやすいさが一番のメリットです。その反面、部屋の大きさなどを反映しないので、部屋の間取り、事務所スペースの大きさがまちまちな物件では空室率に大きなぶれが生じます。
賃貸アパート、マンションなどではよく使われる計算方法ですが、店舗・事務所等ではあまり使われません。
床面積ベースの空室率
床面積ベースの空室率は空いている部屋の床面積の合計と全体の床面積の合計によって計算します。
上の例では100㎡の部屋と50㎡の部屋を想定してみました。計算は次のようになります。
250㎡÷1200㎡=21%(空室率)
空いている部屋は「戸数ベースの空室率」と同じなのに求められた空室率が異なってきますね。
床面積ベースの空室率のメリット・デメリット
空室率の実態を把握するためには、できるだけ床面積ベースで計算するのが望ましいです。戸数ベースですと、大きなフロアと小さなフロアが同じにカウントされてしまい、フロア貸しなどをしている場合などでは正確な空室率が算出されません。
貸室の大きさが異なる店舗や事務所などでは、特に床面積ベースで計算することが大切になります。
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賃料ベースの空室率
部屋の賃料は階数や用途、間取りなどによって異なります。その点に着目して賃料ベースで空室率を算定することがあります。
上の例では眺望の良い最上階(3階)だけ1室12万円、後は10万円と想定しました。一棟の合計賃料は64万円、4棟なので256万円が全室埋まった満室のときの賃料ですね。
10万円の部屋が4室空いているので、空室の賃料は40万円です。
40万円÷256万円=16%(空室率)
賃料ベースの空室率のメリット・デメリット
投資家や大家の視点からは最も大事な空室率が賃料ベースでの空室率です。同じ一部屋、同じ面積でも賃料が大きい部分が空いてしまったのでは、収益に大きく差が出ます。
実際は隣り合った部屋でも賃料が違うということも多々生じます。このようなときに空室部分の賃料をどのように設定するかという問題もありますね。
まとめ
上の3例では、いずれも4室のみが空室の空室率を査定してみました。それでも空室率は16%~21%と差が生じてきます。
空室率をどのような目的で査定するのか。どのように利用するのか。得られるデータはどれほどのものなのか。このような事柄をきちんと整理して、用途に合った空室率を求める必要があります。
また、巷で公表されている空室率についても、どのような方法で計算された空室率なのかをきちんと把握した上で、数字を使うことが必要となります。