不動産の価格についてのスペシャリスト、不動産鑑定士が土地を安く買う方法について解説します。
私は不動産鑑定士という仕事をしていますが、マイナーな職種ということもあり、不動産屋さんと間違われます。
そのためよく言われるのが「掘り出し物件ある?」ということです。
では、掘り出し物件(相場より安い土地)を見つけるにはどのようにしたら良いでしょうか。
掘り出し物件を見つける方法は?
相場より安い土地、掘り出し物件を見つける方法はあるのでしょうか?
これは断言できるのですが、掘り出し物件はありません。
一般の人が土地を購入する場合、不動産屋さんから購入することになると思います。
この場合、不動産屋が土地の値段をつけることになりますが、地域の相場を熟知している不動産業者が安い値段をつけることはありません。
もし安い値段の土地があったとしても、他の不動産屋さんが購入して相場の価格で販売されてしまうでしょう。
一般の人が不動産屋を出し抜いて格安の物件にたどりつくことはほぼ不可能です。
なぜ不動産屋さんは物件情報を早く手に入れられるか
では、なぜ不動産は物件情報を一般の人々よりも早く手に入れられるのでしょう。
不動産屋は横のつながりが非常に強い業種です。
不動産業者のみが使える不動産情報サイト(レインズ:REINS)もあり、業者相互間で不動産情報を常に共有しています。
そのため、不動産屋は一般の人々よりも売りに出た物件の情報を早く手に入れることができます。
レインズの仕組みについては、別記事「レインズ(reins)とは?利用可能・閲覧可能なのは誰?」で詳しく開設しています。一般の人が使えるレインズについての記事「一般の個人が利用可能なレインズ(REINS)を使って土地相場を調べる。」もありますので参考にしてみてください。
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レインズ(reins)とは?利用可能・閲覧可能なのは誰?
不動産業者のみが使える不動産情報のサイトにレインズ(REINS:不動産流通標準情報システム)があります。 REINSは Real Estate Information Network System の ...
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不動産市場は透明性が高い市場といえます。
安く土地を買いたいなら所有者に直接あたる
不動産鑑定士という仕事柄、たくさんの取引を目にします。
その中にはやはり相場よりもずっと安い値段で取引されている土地もたくさんあります。
それはどういった土地なんでしょうか?
一つが、所有者から直接買えた土地。つまり不動産屋を介さず購入できた土地です。
隣地の売買
例えば隣地の所有者が土地がいらなくなってしまった場合、隣に住んでいるということで「土地を買わないか」と持ち掛けられることがあります。
このような場合、非常に安い価格で土地を購入できる場合があります。
(注)もちろん相場での土地売買も多いです。逆に、高値で取引もあります。
直接所有者に交渉する
私の知り合いでもたまにいるんですが、「ここの土地が欲しい!」という想いで、直接土地所有者に土地の売買を交渉する人もいます。
土地所有者さんが相場を知っているか知らないかに大きく左右されますが、思わぬ安値で土地を買えることもあります。
(注)土地所有者は法務局で誰でも簡単にしらべることができます。
不動産屋を間にいれないことで、数十万円はかかる仲介手数料も削減することができます。
しかし不動産屋さんを間に入れないことによるデメリットもあります。
- 不動産の調査を自分でしなければならない。
- ぱっと見では良い土地だと思っても、素人には分からない欠点がある場合がある
不動産の利用にはたくさんの法律による制限があります。
規制の厳しい法律が該当してしまうと、家を建てられないこともあります。不動産屋を間に入れることで、素人には分からない法規制を専門家が調査してくれます。
土地所有者に直接交渉して土地を購入した私の知り合いも、建築士さんをしており、不動産について詳しい人でした。
ですので、やはり専門家をどこかに間に入れることを個人的にはおすすめします。
訳アリ物件なら安く買える?
競売物件や事故物件なら安く買える!
ということもあります。これは本当で確かに安く買えると思います。
しかし、それ相応のリスクがあります。
競売物件であれば、所有者が土地をすんなりと引渡してれるとは限りません。
建物であれば、室内にあるごみをそのまま放置して行ったりするケースも多いです。土地の場合でも産廃ごみなどがそのままのケースもあります。
最終的には自分がお金を出してごみを処分しなければなりません。中にはごみ処分費用で100万円を超える金額がかかってしまったケースも耳にします。
競売物件にはそのようなリスクが存在しているので安いのです。
事故物件も同じです。
人が嫌う物件だから安く取引がされるのです。
訳アリ物件は安いが、安い理由がきちんとある。
事故物件をもっている所有者向けに書いた記事にはなりますが、別記事で「事故物件は売れない?価格は?瑕疵物件を高く売却するために。」事故物件の価格について触れています。
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事故物件の売れない?価格は?瑕疵物件を高く売却するために。
事故物件という言葉を聞いたことがあると思います。 家で自殺があった。殺人事件があったなどが典型的な例です。最近は高齢化や独居老人の増加で、孤独死なども多くあります。 普通では買主が見つからないと思われ ...
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【結論】お買い得の土地はない
今まで説明してきたことをまとめましょう。
市場に出回っている物件の中からお買い得不動産を探そうとしても見つかりません。
つまり、お買い得の土地はありません。
お買い得な不動産を見つけたいのならば、市場に出回る前に所有者から直接購入するという手もあります。
実際、不動産業者はそのようにして不動産を安く仕入れています。