筆界未定地(ひつかいみていち)は、地籍調査が行われたときに、それぞれの土地の筆界を確定できず、筆界未定の扱いを受けた土地を指します。
なぜ筆界未定となるのか?
土地の境(筆界)は単独の土地のみで決まるものではありません。隣接する2以上の土地の間で成立します。
筆界未定となる理由は、筆界について争いがある。そのほか、土地所有者の立ち合いが得られない場合にも筆界未定となります。
自分が立ち合いをしたとしても、隣接する土地の所有者の立ち合いが得られない場合には、筆界未定となってしまいます。
筆界未定地の公図
地籍調査前後の公図を下図に示しました。
地番42・43土地の筆境の確定ができなかった場合、42と43は「(42+43)」と表示されます。地番42・43土地の間には線が表示されないことから、どこが境界かは分かりません。
このような場合、市町村役場の税務課の公図を取得してみると、従前の筆境が表示された公図を取得することができる場合があります。参考として覚えておくと良いかもしれません。
筆界未定地の登記(全部事項証明書)
筆界未定地の実際の全部事項証明書を下に示します。
地図番号(通常はアルファベットと数字の記号が書いてある)の欄に、国調筆界未定地と書かれているのが分かると思います。
筆界未定地の問題点
筆界未定地となった場合の問題点はなんでしょうか?
まず、筆界未定地のままだと所有権移転が難しくなります。もちろん所有権は存在するので売買なども可能ですが、筆界に問題のある土地ということで価格はかなり下がってしまいます。
その他、次のような不利な点が存在します。
- 分筆・合筆ができない
- 地積更生ができない
- 地目変更ができない
筆界未定を解消するために
筆界未定を解消するための制度として、筆界特定制度があります。
筆界特定は、登記された時の土地の筆界の現地における位置または範囲を特定するものです。
- 申請人(土地の所有者など)は、所有する土地を管轄する法務局または地方法務局に筆界特定の申請をします。
※手数料が必要となります。 - 申請人からの申請に基づき、法務局または地方法務局が必要な調査・測量を行います。
※測量が必要な場合は、測量費用の納付が必要となります。 - 申請人や関係人には、意見を述べる機会や資料を提出する機会が認められています。
- 外部の専門家である筆界調査委員の意見を踏まえ、法務局の筆界特定登記官が筆界を特定します。
参考 法務省|筆界特定制度
筆界特定制度については、別記事「筆界特定制度とは?期間や流れは?拒否できる?」でも解説しています。
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筆界特定制度とは?期間や流れは?拒否できる?
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