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敷金とは?償却・敷引きとは何?返金されるの?礼金との違いは?全てお答えします。

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賃貸マンション・アパートを借りるとき、当然のように請求される敷金

賃貸契約ってそんなものなんだ。って思って意識せずに支払ってしまっていますが、そもそも敷金とは何でしょうか?

敷金を払うことによって賃借人(借主)にはどのような効果があるのでしょうか?

敷金とは?

まずは敷金の定義です。法律用語辞典を引用したいと思います。

敷金とは

家屋等の賃貸借に際し、賃貸人が、賃貸借終了の時に賃貸人に家賃の滞納その他債務不履行がなければ返還するという一種の停止条件付返還債務を負担して、賃借人から取得する金銭をいう(民法316・619Ⅱ等)

停止条件付返還債務などと難しい書き方がされていますね。もう少し簡単に説明しましょう。

敷金とは、賃借人が賃料を支払わないとか、その他債務不履行を担保するために預け入れるものです。そのため、賃借人に債務不履行がなければ、契約終了時に全額返してもらえるのが原則です。賃料の未払い分がある場合は、その額が指しい引いた分だけ返還されます。

もう一つ、よく問題となるのが原状回復です。原稿回復については後で詳しく説明します。

敷引・償却とは?

敷金のやり取りに際して、敷引や償却という耳慣れない言葉があります。さて、どういった意味合いの用語なんでしょうか。

敷引は「しきびき」と読みます。

敷引も償却も意味合いとしては同じ。敷金のうち、返還されない部分を契約に当たって定めたものです。

名目上は敷金でも敷引・償却が存在すると、その部分は返還されないので注意が必要です。

例えば、「敷金は賃料の10か月分、そのうち3か月分は敷引とする」などと定められていた場合、預り金的性格を有する本来の意味合いでの敷金は7か月分。残りの3か月分は戻ってこない金額です。

敷金の賃貸借契約書の例

敷金が本当に戻ってくるのかどうかは、賃貸借契約書によります。参考までに一般的な賃貸借契約書では、敷金がどのように条文で書かれているかを紹介します。

敷金の賃貸借契約書の例

(敷金)第〇条

  1. 乙(借主)は、本契約から生じる債務の担保として、頭書〇に記載する敷金を甲(貸主)に預け入れるものとす
  2. 乙は、本物件を明け渡すまでの間、敷金をもって賃料、共益費その他の債務と相殺することができない。
  3. 甲は、本物件の明渡しがあったときは、遅滞なく、敷金の全額を無利息で乙に変換しなければならない。ただし、甲は、本物件の明渡し時に、賃料の滞納、第〇条に規定する原状回復に要する費用の未払いその他の本契約から生じる乙の債務の不履行が存在する場合には、当該債務の額を敷金から差し引くことができる。
  4. 前項ただし書の場合には、甲は、敷金から差し引く債務の額の内訳を乙に明示しなければならない

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敷金返還と原状回復費用

敷金は賃料の未払い分などを差し引いた残りが返還されると説明しましたが、「など」の中に含まれる大事なものが原状回復費用です。

さきの賃貸借契約書の例でも第3項で「第〇条に規定する原状回復に要する費用の未払いその他の本契約から生じる乙の債務の不履行が存在する場合には、当該債務の額を敷金から差し引くことができる。」と、原状回復に必要な費用は敷金から差し引くことができるとかかれています。

大家(貸主)は、できるだけきれいな状態で新しく賃貸募集をしたいので、色々をきれいにしたいと考えます。新しい照明設備をとりつけたり、壁紙を張り替えたり、畳を新しく替えたりと、したがるのです。

でもこれって敷金を差し入れた借主が負担しなければならないものなんでしょうか?

原状回復とは、目的物を借りた当初の元どおりの状態に戻すことをいいますが、全部をきれいにしてあげる必要があるのでしょうか?

この点、トラブルが多いため、国土交通省ではガイドラインを設けています。

参考 国土交通省|「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について

この中で、原状回復はこのように定義されています。

「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」

いわゆる経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は、賃料に含まれるものとして、原状回復には、賃借人が借りた当時の状態に戻すことではないことを明確化しました。

具体的にどの程度の傷み、劣化が原状回復の範囲なのかは、先のURLで具体的に説明されています。

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敷金と礼金・権利金の違い

最後に、礼金・権利金との違いについて触れておきます。

礼金・権利金は、ともに返還されない一時金です。権利金は店舗・事務所の賃貸のときに主に使われる名称で、礼金は住宅の賃貸の際に主に使われます。

地域によっても名称の使われ方が様々ですが、ほぼ同じものと考えておけばOKです。

ただし、敷金の敷引・償却のように、敷金の名称で授受されていても、返還されない、つまり実質的には礼金・権利金に該当する場合もあるので注意が必要です。




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