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事故物件を売るには?価格査定や購入者の見つけ方

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この夏楽しみに見ているドラマ「家売るオンナ」の第6話”王子が愛人に家を売る!?夏の夜の事故物件お泊まり会”は事故物件を扱った内容でした。

せっかくですので、事故物件について書いてみたいと思います。

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事故物件とは

まずは事故物件について簡単に説明します。

事故物件(じこぶっけん)とは、広義には不動産取引や賃貸借契約の対象となる土地・建物や、アパート・マンションなどのうち、その物件の本体部分もしくは共用部分のいずれかにおいて、何らかの原因で前居住者が死亡した経歴のあるものをいう。

事故物件という定義は明確なものはありません。ですので死亡に関わらず何らかの事件に関わった物件も広くは事故物件と呼ばれます。

事故物件として扱われる物件には主に以下のケースです。

  • 殺人、自殺、火災(放火ないし失火)などの刑事事件に該当しうる事柄で死者の出た物件
  • 事件性のない事故、災害(地震による崩壊など)や孤独死などで居住者が死亡した物件

事故物件と心理的瑕疵

心理的瑕疵とは瑕疵の一つで、「対象物件自体や周辺環境にも問題はないが、その目的物を使用するに当たり、心理的嫌悪感がある瑕疵」をいいます。

「周辺環境に問題がない」と書きましたが、近くに暴力団員が居住していることや暴力団事務所があることが心理的瑕疵に該当するとした裁判例もあり(東京地判平9・7・7判時1605号71頁)、環境的瑕疵と心理的瑕疵の区別は判然としていません。

事故物件の多くは、心理的瑕疵の存在が認められます。そのため事故物件を仲介する不動産業者(宅建業者)には物件で自殺等があったことを説明する義務が生じます(宅建業法31条、35条1項、47条1号二等)。

ドラマ「家売るオンナ」では営業マンである三軒家チーフが「不動産屋には聞かれたら答える義務があります!」と言って事故について説明していましたが、厳密には違いますね。事実不告知も禁止されていますので、聞かれたら答えるではなく、聞かれなくても説明する義務があります。

参考:[書籍紹介] 不動産取引における 心理的瑕疵の裁判例と評価

買い主の見つけ方

事故物件は普通の人には忌み嫌われます。ですので不動産屋にとってはあまり扱いたくない、難しい物件となります。

ではどのように買い主を見つければ良いでしょうか。

その前にどうして人は事故物件を嫌がるのかを考えてみましょう。当然といえば当然ですが、人は死に対して恐怖感や恐れ、不安などを抱いています。不自然な死を遂げた方が住んでいる家に過去いたとなると、何か呪われるのではないか?幽霊でも出るんじゃないか?と科学的には何の根拠もないことを考えてしまいます。

「その目的物を使用するに当たり、心理的嫌悪感がある瑕疵」と心理的瑕疵について説明しましたが、そのとおりで、心理的な嫌悪感があるために、そんな家欲しくない!そんなところに住みたくない!と思ってしまうのは当然です。

そのため、買い主には死に対して比較的嫌悪感の少ない職業についている人。死に密接した仕事をしている人などがメーンターゲットとなります。

具体的には医者・看護士などの医療従事者葬儀関係者などでしょうか。警察関係者も一部では死に密接した仕事なのかもしれません。

医者は高給取りなので、わざわざそんなところ住まないよ。と言われてしまいそうですけどね。

反対にターゲットとして適さないのはファミリー層です。自分は医療従事者で死に対して不安がない、事故物件でもたいして気にしない、などと考えていても、配偶者や子供はまた別です。一人ならば住んでも良いけれど、家族で住むにはちょっとな。という側面があるのでファミリー層を購入ターゲットとして選ぶのは厳しいです。

事故物件の価格査定

事故物件は一般の時価よりも安く取引がされます。購入者も限定される瑕疵がある物件なので当然ですね。

ではどのぐらい安くすれば良いのでしょうか?どのくらいまで価格を下げれば売れるのでしょうか?

事故物件の減価率

事故物件の減価率については一概には言えません。減価率を判断する際の要因を羅列してみます。

  • 事件の態様-他殺か自殺か
  • 事件の起こった場所-室内なのか、家の外の車庫なのか
  • 物件のある土地の地域性-都心なのか、農村の集落なのか
  • 事件の起こった時期-事件は1年未満なのか、数年経過しているのか
  • 事件の当事者ー事件があったのは所有者なのか、賃借人なのか、第三者なのか
  • 物件の概要-マンションなのか、収益目的なのか、戸建て住宅なのか

事件の態様

事件が他殺だったのか、自殺だったのか。その事件の残忍性や地域住民にどの程度広がっているかなどによって減価の程度が異なります。

新聞報道までされて、その地域住民がみんな知っているような事件だった場合は、いくらにしても売るのが難しいですよね。そのような場合は建物を取り壊して更地にするなどしないと売れないかもしれません。出口としては更地にして隣地所有者の駐車場利用程度でしょうか。

事件の起こった場所

事件が起こった場所が、室内なのか、屋外の敷地内なのか、附属屋の車庫・物置なのかも重要な要因です。

附属屋であった場合は、取り壊してしまった方が売りやすいでしょう。室内であればきれいにリフォームしても心理的な嫌悪感は拭い去るのは難しいと思います。

事件の起こった土地の地域性

繁華街のような地域であれば、減価の程度も小さいものと考えられますが、地域住民が密接に暮らしているような農村住宅であれば減価率も大きくなるものと考えられます。

事件の起こった時期

これは地域住民に事故の内容がどれほど浸透しているかとも関わってきますが、事件が最近なのか数年前なのかを調べる必要があります。事件も風化しており、ほとんどの人が気にしない程度であれば減価率も小さくなります。しかし10年以上前の事件でも新聞報道などで大々的に扱われたりしていれば、かなり売りづらいんじゃないでしょうか。

事件の当事者

事件を起こしたのが所有者、長年住んでいた居住者であった場合は、心理的嫌悪感も大きいものと考えられます。

通り魔的な事件で第三者が起こしたものであれば、事件の残忍性とも関わってきますが、やや減価の程度も小さいのかな?と考えられます。

物件の概要

営業用の物件か居住用の物件かです。営業用の物件については、物販であれば扱う業種にもよりますが、減価の程度も小さいです。

居住用でも、単身者用のものかファミリータイプかでも異なります。単身者用であればその居住者が気にしなければ問題ないのですが、ファミリータイプは家族がいますので、減価は相当に大きいものと考えられます。

減価率の査定

上の要因を総合的に勘案して、引き合いをみつつ物件の価格を査定する必要があります。一般的には△30%~△50%程度の減価を相場からして売りに出されていることが多いんじゃないでしょうか。

減価率については下記の書類が詳しいです。

まとめ

ドラマ「家売るオンナ」では阿佐ヶ谷の戸建て住宅が事故物件のため1000万円で売りに出されていました。見た感じもおしゃれで築浅の物件だったので、1000万円だったら私でも欲しいなーって感じでした。ま、お金がありませんが。

事故物件は知らないだけで、身近に存在しています。今は「大島てる」という事故物件の告知サイトもありますので、活用すると便利です。

参考:事故物件を調べよう。「大島てる」で不動産の心理的瑕疵を確認。

 

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